安美錦 127日ぶり1勝!引退危機乗り越え“技のデパート”再出発

[ 2016年9月13日 05:30 ]

<大相撲九月場所2日日>里山をはりまなげで破る安美錦(左)

大相撲秋場所2日目

(9月12日 両国国技館)
 夏場所で左アキレス腱を断裂し4日目から休場、名古屋場所を全休した十両・安美錦(37=伊勢ケ浜部屋)が里山を破り初日を出した。決まり手の「はりま投げ」は自身初めて。2004年九州場所以来の十両で再起の一歩を踏み出した。綱獲りの大関・稀勢の里は小結・栃煌山を押し出して連敗を免れた。横綱・鶴竜は隠岐の海に敗れ2連敗となった。

 久しぶりの感覚だ。左アキレス腱断裂から2場所ぶりに復帰した十両・安美錦が夏場所初日以来となる127日ぶりの白星を挙げた。「これまで勝てずに大変だった。ひとつの勝ちが薬になる」と笑顔がのぞいた。

 潜り込んでの相撲が得意の業師・里山との初対決。しかし、輝いたのは安美錦の業師ぶり。相手の出足を止めて肩越しにまわしをつかむと、はたき気味に土俵人生20年目で初めての「はりま投げ」。親友でもある里山を土俵に叩きつけ「(勝つのは)10年早いよ」と貫禄を見せた。

 通算42種類に達した決まり手は現役関取では最も多彩。同郷青森の先輩、元小結・舞の海は目の前で手を叩く「猫だまし」など立ち合いから多様な戦法で「技のデパート」と異名を取ったが、決まり手に限れば33種類と安美錦に遠く及ばない。

 夏場所2日目の栃ノ心戦でアキレス腱を断裂し、手術してから苦闘の4カ月。稽古は十分ではないが最善を尽くしている。再発防止のために着けていた左膝の分厚いサポーターも、今場所は膝を締め付けることがアキレス腱によくない、という理由で外している。

 土俵入りだけで大きな歓声が起こる現役最年長関取は「(歓声は)宇良といい勝負かな」とジョークを飛ばしながら注文も忘れない。「出てくるだけで声援があるというのは、辞める間際。相撲を見て(声援を)送ってもらえたら」。衰えない気力で再入幕を目指す。

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2016年9月13日のニュース