ボッチャ 銀以上確定!「地上のカーリング」に新たな歴史

[ 2016年9月13日 05:30 ]

<ボッチャ混合団体(脳性まひなど)準決勝>決勝進出を決め喜ぶ(前列左から)藤井、木谷、杉村、広瀬

リオ・パラリンピック ボッチャ・チーム(脳性まひ)準決勝 日本8―5ポルトガル

(9月11日)
 リオ・パラリンピック第5日でボッチャのチーム(脳性まひ)準決勝が行われ、日本はポルトガルを8―5で下し、08年北京大会の初出場以来初のメダルとなる銀以上を確定させた。3大会連続出場の広瀬隆喜(32=アルムの森ペーターの丘)の活躍で難敵に快勝した。決勝(日本時間13日午前7時30分開始)はタイと対戦する。

 エース広瀬が雄叫びを上げた。3―1で迎えた第3エンド、最後の投球だ。日本はそのままでも2点取れる状況だったが、広瀬は「(ポルトガルの球を)押せば高得点が狙える」と勝負に出た。「火の玉ジャパン」の愛称よろしく火が出るような勢いの赤球は相手の青球をはじき飛ばして、ジャック(目標球)に近づいて止まった。得点の範囲を拡大し、大量4点をゲット。試合の流れを決定付けた。

 広瀬は第2エンドと第4エンドでも、相手が遠くに置いたジャックにピタリと寄せるスーパープレーを連発した。勝利の立役者は勝負が決まると「(車いすから)落ちるかと思った」と全身を揺らしてガッツポーズして喜んだ。

 日本は初出場の08年北京大会は1次リーグ敗退、12年ロンドン大会は準々決勝でポルトガルに2―10で完敗し、7位に終わった。先天性の脳性まひで高校3年の時に「地上のカーリング」とも呼ばれるボッチャを始めた広瀬は、パラリンピック3大会連続出場で苦難の歴史を知る。因縁の相手を倒しての初のメダル確定に「まずは決まってよかった。リベンジできてよかった」とうれしさもひとしおだ。

 レベルアップの要因は豊富な国際経験だ。ロンドン大会後、パラリンピックの出場資格を得るには世界ランキングで上位に入らなければならなくなり、ポイント獲得のために自費で海外の試合に参加してきた。村上光輝ヘッドコーチは「大会に出て強くなった。選手たちの頑張りのおかげです」と選手たちを称賛した。

 世間でボッチャを知っている人はまだごく少数だろう。杉村英孝主将は「結果を出すことで取り上げてもらえる。メダルは大きな意味がある」と語った。決勝の相手は世界ランク1位のタイ。広瀬は「タイは今一番強い。勝った記憶もない。でも、もちろん金が欲しい」と言った。金メダル獲得となれば、日本選手団第1号の可能性が高い。ボッチャをアピールする絶好のチャンスだ。

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2016年9月13日のニュース