松田「一点の悔いもない」“久世ノート”に一筆…現役に幕

[ 2016年9月13日 05:30 ]

晴れやかな笑顔で引退会見を行う松田

 競泳男子の松田丈志(32=セガサミー)が都内のホテルで引退会見を開いた。28年間の現役生活を終え「今は本当にすっきりしていて、一点の悔いもないという気持ち」と涙を流した。

 地元宮崎県のビニールハウスのプールを拠点に、久世由美子コーチ(69)と二人三脚で五輪に4大会連続で出場。地方で猛練習を重ねて、銀メダル1個、銅メダル3個を獲得した。今後は水泳の普及などの活動をする予定で「何もないものから、つくり上げていくことを伝えたい」と語った。

 記憶に残る男だった。ロンドン五輪では「康介さんを手ぶらで帰らすわけにはいかない」という名言。試合会場では緊張感を漂わせ、近寄りがたい雰囲気もあった。トレードマークの分厚い胸板は努力の証。萩野ら若手は「丈志さんは本当に練習(で自身を追い込む精神力)が強い」と尊敬のまなざしだった。

 久世コーチがつけた練習ノートは250冊を数え、最後に松田が「このノートには僕の選手としての成長と歴史が全て詰まっていると思います」と書き込んだ。北島のような派手さはなくても、競技に真摯(しんし)に向き合う姿勢もまた、アスリートのかがみだ。実直な男らしい言葉が“久世ノート”に刻まれ、世界に挑んだ歴史に幕を下ろした。

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2016年9月13日のニュース