逸ノ城ナメるな!鬼の鶴竜が“愛のムチ”10分間かわいがり

[ 2014年10月11日 05:30 ]

<横浜巡業>鶴竜(左)とのぶつかり稽古で土俵に転がる逸ノ城

 大相撲の秋巡業が10日、横浜市の横浜文化体育館で始まった。秋場所で新入幕ながら13勝を挙げた逸ノ城(21=湊部屋)に対し、横綱・鶴竜(29=井筒部屋)がぶつかり稽古で10分間も胸を出した。秋場所の初対戦の際に立ち合いの変化で金星を奪われたこともあって愛のムチを振るった横綱だったが、稽古でも全力でぶつかってこなかった逸ノ城の態度に怒り心頭だった。

 普段は温厚な鶴竜が鬼になった。秋場所の初対戦で変化を敢行した逸ノ城をぶつかり稽古で指名。最高位を務める身として番付社会の厳しさを教えるべく10分間も胸を出し続けた。だが、開始直後に“怪物”はスタミナ切れ。簡単に土俵上に倒れ、ざんばら髪を真っ白にさせる新入幕に対し「全然押してないよ!」と怒鳴る場面もあった。

 館内からは「ぼちぼち許してやれよ。かわいそうだよ」という同情の声が漏れた一方で「もっとかわいがれ!」という厳しい掛け声も飛び出した。

 稽古後、鶴竜は逸ノ城について「やる気がない。一生懸命さがないです。全然力を入れない」とバッサリ。「まだまだでしょう」と残り12カ所の巡業地でも胸を出す考えを明かした。自らも過去に朝青龍ら先輩力士から厳しい稽古をつけられ、それを我慢して強くなってきた自負がある。「みんな経験してきたことを伝えていく立場ですから」と自覚十分だった。

 一方の逸ノ城は「きつかった。横綱は重かった」と嘆いた上で「指名されて胸を借りられたことはうれしい」と感激の面持ち。だが、審判として巡業に同行している師匠の湊親方(元幕内・湊富士)からは「胸を借りてるんだから思い切りいかないと」と注意されたそうで「しっかり稽古します」と反省もしていた。

 この日は打ち出しが午後8時というナイターでの開催。それに合わせて稽古も午後1時からという変則的な形が取られたものの、横綱の愛のムチで土俵は活気づいた。尾車巡業部長(元大関・琴風)も「しごかれた分だけ強くなる。残り2週間の巡業でまだ変われると思うよ」と逸ノ城に期待した。九州場所(11月9日初日、福岡国際センター)で三役昇進が濃厚な怪物の行動から目が離せない。 

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