桐生 ボルト流で9秒台狙う!「雨でも最大のパフォーマンスを」

[ 2014年4月29日 05:30 ]

陸上の織田記念国際を控え、おどけてファイティングポーズをとる桐生祥秀

 ボルト流で日本初の9秒台に突入だ。陸上男子短距離の桐生祥秀(18=東洋大)が29日、織田記念国際(エディオンスタジアム広島)の男子100メートルに出場。昨年、日本歴代2位の10秒01をマークした大会に向け、28日は会場で練習せずに準備を整えた。レース当日は記録が出にくいとされる雨の予報だが、昨年の世界選手権ではウサイン・ボルト(27=ジャマイカ)が雨中の激走で金メダルを獲得。憧れの世界記録保持者のように、ワンダーボーイが雨を切り裂く。

 9秒台を狙う18歳は、天候なんて気にしない。日本歴代2位の10秒01で、日本短距離界に衝撃を与えた13年4月29日から1年。29日の広島の降水確率は午前80%、レースが行われる午後は60%だ。雨が残る中での号砲が予想されるが、桐生は「雨が嫌っていうのはあまりなくて、“まあ、いいか”という感じ。雨でも最大のパフォーマンスを見せられれば」と闘志を高めた。

 男子100メートルで予選落ちに終わった昨夏のモスクワ世界選手権。豪雨の中で行われた決勝を桐生は会場で観戦した。9秒77で金メダルを獲得したのは、憧れのボルトだった。レース後、ミュージカルの名作映画を引き合いに出し、「“雨に唄えば”ではなく“雨に走れば”だったな」と振り返った最速男の姿は、今でも脳裏に焼き付いている。「あの時のボルトのようなイメージで、雨も気にせず走りたい」と余裕の表情を浮かべた。

 短距離では一般的に、雨が降れば記録が出にくいとされる。桐生を指導する日本陸連男子短距離副部長で東洋大コーチの土江寛裕氏(39)は、「雨が体に当たって集中しにくいし、ウオーミングアップもしにくい。雨で抵抗も少し大きくなるんじゃないでしょうか」と説明するが、桐生には関係なし。昨年、200メートルで19年ぶりの高校新記録(20秒41)をマークした時は、冷たい雨が降っていた。

 大学生活にも慣れ、20日の出雲陸上を10秒26で制した後は、今大会に向けて課題のスタートを修正。前日(27日)に広島入りし、この日は休養に充てレースに備えた。「ここ(広島)で走るのは凄く楽しみ。予選も決勝も全力で、1本ずつ集中していく。楽しく走って、結果的に(9秒台が)出たらうれしい」。ボルトのような激走で、ワンダーボーイが再び「4・29」に伝説を刻む。

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