新入幕の双大竜 13年ぶり福島出身「頑張って励みになれば」

[ 2013年2月26日 06:00 ]

春場所へ向け意気込む双大竜

 日本相撲協会は25日、春場所(3月10日初日、ボディメーカーコロシアム)の新番付を発表し、双大竜(30=時津風部屋)と大岩戸(31=八角部屋)が新入幕を果たした。双大竜は福島県出身としては00年九州の玉ノ洋(後の玉乃島)以来13年ぶりの新入幕。幕内最軽量の122キロながら思い切りのいい突き押しを武器に、東日本大震災で被害を受けた故郷に勇気を届ける。横綱・日馬富士(28=伊勢ケ浜部屋)が初めての東の正位に就き、白鵬(27=宮城野部屋)は19場所ぶりに西に回った。

 大阪市内の宿舎で行われた新入幕会見。晴れの舞台だというのに、双大竜は新番付を手にしても複雑な気持ちが抜けきらなかった。

 「いつも福島のことを思っているし、福島の人は厳しい状況。頑張って励みになってもらえれば…」

 春場所2日目の3月11日は、2年前に東日本大震災が起きた日。福島県でも原発事故による放射能漏れが起きた。福島市にいる双大竜の家族は無事だったが、原発近くの飯舘村にいた伯父夫婦は内陸部に避難したままだ。「知人や親戚にも農家の人がいるけど、放射能が基準値以下でも(作物を)買ってもらえない」と、風評被害も憂いている。

 春場所に懸ける思いは強い。122キロは133キロの横綱・日馬富士を下回り、幕内最軽量。日馬富士を手本に、激しい突っ張りと低い立ち合いで地力強化し、師匠の時津風親方(元幕内・時津海)も「スピードもあるし相撲ぶりはいい。精神的にも強くなった」と期待を寄せる。

 05年夏場所が初土俵の30歳。07年に同部屋で力士暴行死事件が起きたときには「引退も考えた」というが、基本を中心に地道な努力を重ね、番付の最上段に名を連ねた。「課題は体重を増やすこと。思い切りのいい相撲で横綱と当たる地位まで上がりたい」。さまざまな思いを胸に、春場所で大きな花を咲かせる。

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2013年2月26日のニュース