小塚、SP6位から“完璧”大逆転!初の銀メダル!

[ 2011年4月29日 06:00 ]

銀メダルを手に「がんばろう ニッポン!」と書かれた日の丸を掲げる小塚崇彦

フィギュアスケート世界選手権第4日 男子フリー

(4月28日 ロシア・モスクワ)
 フィギュアスケート世界選手権第4日は28日、ロシア・モスクワで行われ、男子ショートプログラム(SP)で6位と出遅れた小塚崇彦(22=トヨタ自動車)がフリーで4回転ジャンプを決めるなど好演技を見せ合計258・41点で銀メダルを獲得した。SP3位の前回王者・高橋大輔(25=関大大学院)はミスが相次ぎ合計232・97点の5位。SP2位の織田信成(24=関大大学院)はジャンプ違反で得点を伸ばせず合計232・50点で6位。SP首位のパトリック・チャン(20=カナダ)がSP、フリー、合計の全てで世界歴代最高点を更新し合計280・98点で初優勝した。

 ゆっくり両腕を突き上げた。演技を終えた小塚は歓声を浴びて満足感に浸った。「うれしいです。今はもうこれ以上のことはできない」。完璧な演技の後に待っていたのは初の銀メダルだった。

 冒頭の4回転ジャンプを決めて勢いに乗ると7つのジャンプを全て成功。6位と出遅れたSPでは「運動会前の小学生みたいに焦りまくっていた」反省を生かし落ち着いて滑った。フリーの180・79点は自己ベストを10点以上更新する世界歴代2位の高得点。技術点ではチャンを上回った。

 東日本大震災の影響で開催の見通しが二転三転し心が揺れた。そんな時、佐藤信夫コーチが休養を命じた。小塚は旅に出た。高知県の坂本龍馬ゆかりの地など四国、中国を車で回った。つかの間の休息で英気を養った。

 フリーで滑るリストの「ピアノ協奏曲第1番」は祖父・光彦さんが元五輪代表の父・嗣彦さんの現役時代に薦めた曲。当時はピアノ曲で滑る選手が珍しく使うことなく引退。約40年の時を経て祖父から受け継がれた曲でフィギュア一家のサラブレッドが輝きを放った。

 開会式で黙とうが行われるなど日本に配慮した演出がなされた。「ロシアの方の日本に対する愛とか温かさを感じた。その気持ちに応えたかった」。心優しい男はロシアの声援にも応えた。

 06年の世界ジュニア優勝から着実に成長し、今季は初めて全日本選手権も制した22歳。「来年は技術を高めて、もっと上を目指していく」。高橋に続く日本男子2人目の世界一を見据えていた。

 ▼小塚嗣彦氏 震災の影響で調整が難しい中、よく頑張った。成長した。今後はまた一歩先を目指してほしい。

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