文科省、夏開催へ“注文” 八百長の背景説明を

[ 2011年2月24日 06:00 ]

 大相撲の八百長問題で、監督官庁の文科省が相撲協会に対し、本場所再開への厳しい条件を提示した。同省競技スポーツ課の芦立訓(さとし)課長は23日、特別調査委員会(伊藤滋座長)の調査には理解を示す一方、夏場所を開催する場合には十分な説明を行う必要があると主張。関与者の適切な処分だけでなく、八百長が起きた背景などを把握し、説明すべきとの見解を示した。

 文科省が夏場所開催も視野に入れる相撲協会に、八百長の細部にまで及ぶ調査を要求した。

 特別調査委員会の調査は、正直に告白した者には処分の軽減も考慮する手法を導入するなど新展開を迎えたが、芦立課長は「一連の手法に対しては、調査の範囲を広げていると解釈しています」と一定の評価を下した。その一方で、夏場所開催については調査の終結だけでなく世間を納得させる必要があることを強調。「春場所を見送ったのはそれなりの理由があった。仮に夏場所をやるなら、春場所と(協会の体制が)何が違って、何が(事実として)確認されたのか。協会には説明義務がある」と話した。

 同課長は本場所開催の条件として「相撲協会の改善内容」「ガバナンスに関する独立委員会から提出された答申内容に基づく工程表作成提出」などを挙げたが、中でも「八百長に対する徹底的な調査、分析」を最大のテーマにしている。「再発防止策はもちろんだが、八百長が起きた背景などを調査し、われわれに説明することが大事」と言及。“八百長をやりました”と関与を認めさせる以外に“なぜ起きたのか、どういったからくりになっているのか”など、細部にわたる報告を求めた。

 調査委の伊藤座長は調査と並行して本場所を開催すべきと述べているが、放駒理事長(元大関・魁傑)はこの日、「ちゃんと(八百長問題の)調査と処分が終わり、再発防止の対策が終わってからだ」と、全容解明を最優先させるという従来の考えを強調した。文科省は夏場所開催には触れなかったが、諸悪の根源を徹底解明しなければ世間は納得しない。監督官庁から突っ込んだ調査を求められたことで、協会は厳しい対応を迫られた。

 ≪放駒理事長「体制づくりを」≫22日の理事会で、特別調査委員会が調査を迅速化して3月中旬までに一区切りをつける方策を示したことについて放駒理事長はこの日、「早く(本場所を)やりたいという思いは同じ。調査に協力することで体制づくりをしないといけないということ」と説明した。また、皇太子さまが51歳の誕生日に際して「国技として、今後とも人々に親しまれるような形で問題が解決されることを願っております」などと述べられたことについては「本当に申し訳ない。一日も早く、そういう形で解決したい」と謝罪した。

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2011年2月24日のニュース