錦織世界13位に雪辱!酷暑5時間死闘制す

[ 2010年9月4日 06:00 ]

チリッリを破り2回戦を突破した錦織

 全米オープンテニス第4日は2日、ビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンターで行われ、男子シングルス2回戦で世界ランク147位の錦織圭(20)が、同13位で第11シードのマリン・チリッチ(21)を約5時間、フルセットの死闘の末に撃破。32選手による3回戦で同23位のアルベルト・モンタニェス(29=スペイン)と対戦することになった。男子は2年ぶりの優勝を目指すロジャー・フェデラー(29)、女子は第1シードのキャロライン・ウォズニアッキ(20)や4年ぶりの優勝を狙うマリア・シャラポワ(23)が3回戦に進んだ。

 大きな山を超えた。08年3月のツアーで2―6、4―6の完敗を喫したチリッチへのリベンジマッチ。フルセットにもつれた試合の最後は、バックハンドのリターンを鮮やかに決めた。4時間59分は自己最長試合。試合後、氷風呂につかって体の火照りを鎮めた錦織は「チリッチに勝ったというより5セット、5時間、戦い抜いた充実感がある」と右ひじのケガからの完全復活を確信した。
 コート上の気温が40度を超し、酷暑と疲労との戦いともなった。チリッチは1メートル98の長身から放つサーブが不調だったが、錦織は「守って勝てる相手ではない」と緩急自在の攻撃を仕掛け、得意とするタイブレークで第2、4セットを制した。第3セットから左足付け根と右腕がけいれんしており「まだあと1セットもやらなくてはいけない」と思ったが、チリッチも背中などに痛みを訴えていた。集中力を保ち、ドロップショットでアクセントをつけながら強烈なショットを連発。課題と言われてきた体力面での勝負で押し切った。
 恩師のニック・ボロテリー氏は「ケガだよ。1年ものブランクがケイをまた強くしたんだ」と、うれしそうに教え子を見つめた。右ひじを痛めてリハビリ中だった昨年の全米オープンは「結果すら見ていなかった」。だが、故障を乗り越えて心身ともにたくましくなり、8月中旬の下部ツアー優勝、全米予選を含めて現在シングルス10連勝中だ。08年の全米では3回戦で当時世界4位のフェレール(スペイン)を破り、日本人として71年ぶりの4回戦に進んだ。「3回戦に残れたことはうれしい。自信になる」。“エア・ケイ”旋風を巻き起こした2年前の再現の予感が漂ってきた。

 ▼チリッチ 錦織は(2年前の対戦より)フィジカルが強くなったし、ボールが重くなったと思う。きょうのコンディションはタフだった。湿気があって、呼吸するのも苦しかった。

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2010年9月4日のニュース