朝青龍、母国で“大はしゃぎ”も…暴行問題の捜査継続

[ 2010年3月13日 06:00 ]

モンゴルの副首相表敬訪問のため、政府庁舎に向かう元横綱・朝青龍

 母国モンゴルに凱旋した大相撲の元横綱・朝青龍(29=本名ドルゴルスレン・ダグワドルジ)は12日、首都ウランバートルで行われたイベントに参加。市民との交流を楽しむなど、お気楽な1日を過ごした。その一方で引退の引き金となった暴行問題に関し、警視庁は同日、あらためて捜査の継続を明言。母国で至極の時間を過ごしている朝青龍だが、18日に予定されている再来日後に事情聴取される可能性が出てきた。

 批判あり、恨み節ありの言いたい放題会見から一夜明けた12日、盛大な市民の歓迎を受けた朝青龍の顔は終始緩みっぱなしだった。
 この日は首都ウランバートル市中心部にあるスフバートル広場で行われた帰国歓迎のセレモニーに出席。朝青龍がえんじ色のモンゴル衣装姿で登場すると、国民的英雄に目がけてファンが殺到した。朝青龍にとっては引退後初めて市民と直接交流する機会。握手攻めでもみくちゃにされながらも「モンゴルに戻ってきて最高の気分。皆さんの厚いもてなしでエネルギーをもらった」と上機嫌に呼び掛けた。朝青龍は父・ドルゴルスレンさん(62)、母・プレブバダムさん(59)らとチンギスハン像の前に整列。祖国の英雄に帰国を報告し、神妙な表情でひざまずいて祈りをささげた。
 その後は政府庁舎でエンフボルド副首相を表敬訪問。再び広場に戻ると、横綱時代の映像が流れる大画面のある特設舞台でマイクを握ってメッセージを送った。「みんなで力を合わせてモンゴル発展のために頑張ろう」。そして母国を称える愛唱歌「祖国」を市民とともに歌って交流を楽しんだが、この日は引退の理由などには触れなかった。
 現役時代はバッシングの嵐にさらされていたが、母国での扱いは英雄そのもの。朝青龍はまさに「わが世の春」をおう歌しているが、そんな浮かれ気分も長くは続きそうもない。引退の引き金となった暴行問題に関し、当初は「酔っていて覚えていない」と話していた朝青龍だが、11日の凱旋会見では「暴行は一切してない」と完全否定。この発言を受け、朝青龍本人から事情聴取する方針を固めていた警視庁はこの日「捜査は継続?そういうことです」とあらためて捜査を継続していく方針を示した。
 朝青龍は警視庁麻布署から数度にわたって任意の事情聴取を打診されたが、既に引退し社会的制裁を受けていること、被害者との示談が成立していることなどを理由に、出頭を拒否したとの情報もある。いずれにしても凱旋会見で暴行を完全否定したことが、警視庁サイドを刺激した可能性は否めない。18日にも再来日する予定の朝青龍には、再びイバラの道が待っている。

 ◆朝青龍の暴行騒動 1月16日未明、朝青龍が東京都内で泥酔し知人を暴行し、パトカーが出動する騒ぎを起こしたと1月21日発売の写真週刊誌が報じた。当初は朝青龍の個人マネジャー一宮氏が被害者と名乗り出たが、27日発売の週刊誌が暴行を受けたのは一宮氏ではなく一般男性と報道。その後、一般男性が警視庁麻布署に被害相談に訪れたことが判明した。相撲協会は調査委員会を発足して一宮氏らを聴取。朝青龍サイドは被害者と示談が成立したことを訴えたが、2月4日の理事会に呼び出された朝青龍は引退を決断した。

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2010年3月13日のニュース