メンチ切った朝青龍に内館委員が皮肉のダメ出し

[ 2010年1月19日 06:00 ]

<大相撲初場所九日目>取り組み後にも稀勢の里をにらむ朝青龍

 大相撲初場所9日目は18日、東京・両国国技館で行われ、横綱・朝青龍が平幕・稀勢の里を切り返しで下し、1敗を守った。だが、観戦した横綱審議委員会の内館牧子委員(61)からは立ち合いの変化や、取組後に稀勢の里をにらみつけた態度にまたも注文をつけられた。犬猿の仲はまだまだ続きそうだ。白鵬は垣添を寄り切って1敗をキープ。1敗は白鵬、朝青龍、把瑠都の3人となった。

 今場所2回目となった内館委員が見守る中での一番で、朝青龍が期待通りに?らしさ全開の相撲を見せた。立ち合いで左から張って左に変化すると、すぐにもろ差し。稀勢の里が蹴たぐりに出てバランスを崩したところを見逃さず、その瞬間に右からの下手投げ(決まり手は切り返し)に打って出て、土俵に横倒しにした。
 仕切りの段階で稀勢の里ににらまれたことが気に入らなかったのか、勝ち名乗りを受けると、普段以上に大きなアクションで懸賞金の束をわしづかみ。土俵を下りてからも露骨に稀勢の里ににらみを利かせた。支度部屋でようやく落ち着きを取り戻すと「(稀勢の里は)いつもより気合入ってたね。圧倒されちゃったよ」と苦笑い。相撲内容については「足をはらってきたから、パシッとやった」と満足げだった。
 もちろん、この朝青龍の一番を見た内館委員が黙っているはずがない。立ち合いの変化については「あの人は(昔は)変化しないはずだったのに」と話し、暗に力が衰えたとの認識を示した。鮮やかに決まった切り返しについても「客は大技を喜ぶかもしれないけど、以前は(前に出る)きっぷの良さがあった。ああいうのが出てくるってことは、調子が良くないんじゃないかしら」と皮肉たっぷり。最後は取組後に相手をにらんだ行為に言及し「横綱がメンチを切るほどの相撲じゃない。過剰な反応は良くない」とダメ出しした。
 国技館内の駐車場へと続く通路で報道陣から「内館さんが観戦されてましたが?」と聞かれた朝青龍は、「オマエ、うっせぇんだ!」と声を荒らげた。内館委員が話した内容は、聞かなくても察しがつくと言わんばかりに不機嫌モードに早変わり。土俵だけでなく、こちらの“変化”もいただけない。
 <稀勢の里ムッ「まっ、仕方ないけど…」>稀勢の里は朝青龍に切り返しで退けられて4連敗。立ち合いで変化気味に右に動いた横綱に二本差されると、下手から土俵に投げつけられた。真っ向勝負を挑んだ一番をかわされ「そのまんま(見た通り)でしょう。まっ、勝負だから仕方ないけど…」とムッとした表情を浮かべた。それでも最後は気を取り直し「立ち合いの感じは相手の方がうまかった。完敗ですね」と反省していた。

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