土俵際の魔術師!豊ノ島 横綱大関連破

[ 2008年7月15日 06:00 ]

突き落としで魁皇に逆転勝ちした豊ノ島(手前)

 土俵際の魔術師だ!大相撲名古屋場所2日目は14日、愛知県体育館で行われ、小結に返り咲いた豊ノ島が初日の朝青龍戦に続き、土俵際まで追い込まれながら、こん身の突き落としで魁皇に逆転勝ち。1横綱、1大関を撃破し今場所の台風の目に躍り出た。上位陣では白鵬が安美錦を小手投げで下して2連勝。朝青龍も若ノ鵬を破って初日をマークした。黒星スタートの琴欧洲は北勝力を押し出しで破り、綱獲りに望みをつないだ。

【取組結果


 かかとに目がついているようだった。豊ノ島が魁皇に押し込まれながらも土俵際で驚異の粘り腰を発揮。左ですくい投げ気味に怪力大関を突き落とし、朝青龍戦に続いて2日連続の逆転劇を演じた。

 「体が小さいので土俵際で残ると危険だと言われてきましたけど、こういうところで生かすことができた。あきらめなくて良かった」。2度目の小結に復帰した25歳は笑顔で一番を振り返った。

 2人の“親”に恩返しを誓っている。1人は高知県宿毛市で豆腐店を営む実父・一臣さん(54)だ。実家の梶原食品は最近のガソリン高や大豆の高騰で3月から商品を平均で15%値上げ。一臣さんによれば店の売り上げにも影響が出ているが、本場所中は豊ノ島への注目度が高まり売り上げが3割伸びるという。「“勝ち越し豆腐”も売っているので、頑張ってもらいたいですよ」と一臣さん。孝行息子の快進撃に大きな期待を寄せている。

 もう1人は師匠の時津風親方(元幕内・時津海)だ。昨年の名古屋場所では序ノ口力士・時太山の暴行致死事件が起き、部屋中が重苦しい雰囲気に包まれた。あれから1年。場所前の6月29日には事件が起きた愛知県犬山市の宿舎の土俵で一周忌法要を行った。「暗い話題が多かったので、このまま頑張ってくれれば部屋も明るくなる」と時津風親方は弟子の活躍に表情を緩ませる。

 3日目は綱獲りを目指す大関・琴欧洲戦。「楽しみですね。横綱が懸かっている大関だし。思い切ってとるだけです」と伸び盛りの西小結は3日連続の番狂わせを狙っている。

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2008年7月15日のニュース