億覚悟!違約金払ってもスピード社がいい

[ 2008年4月26日 06:00 ]

競泳の日本選手権男子200メートル自由形決勝に、スピード社製水着で臨んだ松本尚人

 日本水泳連盟関係者は25日、世界新を連発している英スピード社の競泳水着について、水連が契約する国内3メーカーに違約金を払ってでも、五輪本番で着用できるようにする必要性を訴えた。東京・北区のナショナルトレーニングセンター(NTC)で合宿中の日本代表のコーチ、選手の間ではメダル獲得のために、水着選択の自由を求める機運が高まっており、今後の対応が注目される。

 北京五輪に向け、本格的な準備に入ったニッポン競泳陣の切実な声を受け、ついに水連関係者が声を上げた。「3社とスピードでは明らかに数値が違う。契約があるので違約金ということにはなるかもしれない。でも、現場は億(単位の違約金)よりもメダルです」と切実に訴えた。

 それほど危機感は高まっている。今回の日本代表合宿でスピード社の水着を試着した選手が軒並み好記録をマーク。25日には一部コーチが水連が契約するミズノ、アシックス、デサントに水着改善を要求した。中には、スピード社の水着が3社より勝っていることを明言する関係者もおり、水着選択の自由を求める機運が高まっていた。

 上野広治日本代表監督は「スピードを着ることはできない。3社に改善努力をしてもらうしかない」とあらためて否定した。各メーカーも「自信を持って開発した商品。今後はフィット調整などで対応したい」(アシックス)「ベースは今のものになりますが、できる限りの努力はしたい」(デサント)「最良のものを用意してきた。もう一度フィッティングなどを行いたい」(ミズノ)と改良に意欲を見せたが、現場が望むのはスピード社を加えた4社の中から水着を選択する自由だ。

 日本代表と3社は12年ロンドン五輪まで契約しており、北京五輪でスピード社の水着を使用するには、3社に対して1億円とも言われる違約金が発生する可能性が高い。五輪本番まで104日。水連と各メーカーの話し合いは急務と言えそうだ。

 ≪早く頼まないと製造できない?≫国内販売などでスピード社とライセンス契約をしているゴールドウイン社広報は「水連には(五輪では)無理と言われている。もし認められるなら、早急に準備したい」と話した。「レーザーレーサー」は特殊な技術を使うため、世界で1日70着しか製造できない。「使用していただけるのなら、早く本社に対して手を打たないと、間に合わなくなる」とこちらも時間がなさそうだ。

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2008年4月26日のニュース