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【蹴トピ~データで読み解く】こぼれ球回収で後手を踏んだ北朝鮮戦 田中の先制弾呼んだ大然のハイプレス

[ 2024年3月27日 06:00 ]

Aマッチ17試合目で初のフル出場。圧倒的なスピードと運動量で活躍した前田
Photo By スポニチ

 サッカー日本代表は26日のW杯アジア2次予選、アウェー北朝鮮戦が中止となり、貴重なAマッチウイークを1試合で終えた。21日のホーム戦は苦しみながらも1―0で勝利し、勝ち点3を獲得。「データスタジアム」のスタッツでこの試合を振り返る。

 8強敗退のアジア杯から再出発となったホームでの一戦は、前半2分の得点を守り切り辛勝した。苦しい戦いの一因となったのがセカンドボール回収での劣勢。主要スタッツの大部分で日本が上回っていたが、「こぼれ球奪取」は日本の26回に対し、北朝鮮が31回と勝っていた。

 特にミドルサード(ピッチを3分割した中央エリア)でのこぼれ球奪取率は日本が39%、北朝鮮が61%とリードされた。15分刻みの時間帯で大きく差が出たのが後半で、同0~30分は日本の7回に対し、北朝鮮が17回と倍以上。相手のロングボールをはね返しても拾われ、前半シュート0だった北朝鮮は後半6本のシュートを放ち日本のゴールに迫った。3バックに変更した後半31分~終了までは中盤が厚くなった分、こぼれ球奪取は同数の5本。今後は早めの修正が必要となりそうだ。

 この試合で圧倒的なスピードと運動量で輝きを放ったのが、Aマッチ17試合目にして初のフル出場を果たしたFW前田大然だ。左サイドでハイプレスを繰り返し、タックル数は両チーム最多の8回をマーク。これまでの森保ジャパン79試合のうち、1試合で個人8回以上はMF三竿健斗の11回、MF橋本拳人の9回、MF遠藤航の8回の3人しか記録していない。いずれもボランチなど守備的な選手で、攻撃的選手では驚異的な数字といえる。

 北朝鮮戦は日本の敵陣でのタックル13回のうち、半数以上の7回が前田だった。前半2分には前田のタックルからFW上田につながり、MF田中の先制ゴールが生まれている。アジア杯イラン戦でも67分の出場ながら、チーム最多のタックル成功3回。後半22分でベンチに下がって以降は日本のハイプレスも消え、それまで7回あった敵陣でのタックルはわずか1回どまりとなった。

 GK鈴木彩艶はアジア杯全試合で失点していたが、北朝鮮戦では自身最多の3セーブを記録し、元日の親善試合タイ戦以来の無失点に貢献。川口能活の21歳314日を抜く日本GK最年少でAマッチ10試合目到達(21歳213日)をクリーンシートで飾った。一方、GKからのビルドアップ時には相手のプレッシャーに押され、近くの選手にパスをつなげず、縦へ大きく蹴る場面が多かった。パス成功率は出場10試合で最低の65%と相手ボールになる場面も多く、有効ではなかった。今後は足元の技術の向上も求められる。
(データ提供・データスタジアム)

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