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相手大サポーターの前で緊張のPK…パフォの意味は?「一瞬」に見たプロの技術とメンタル

[ 2023年5月22日 07:30 ]

明治安田生命J1リーグ第14節   鹿島1―1FC東京 ( 2023年5月20日    県立カシマサッカースタジアム )

<鹿島・FC東京>前半28分、PKでゴールを決めたFC東京・ディエゴ・オリヴェイラ(中)は指で耳栓をするパフォーマンスを見せる(撮影・西海健太郎)
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 【カメラマンいち押しショット】前週に多摩川クラシコを制し勢いに乗るFC東京を5連勝中の鹿島がホームで迎え撃った一戦。前半早々に鹿島が垣田のゴールで先制するも、25分にFC東京のディエゴ・オリヴェイラがペナルティーエリア内で関川と交錯し、ファウルを受けてPKを獲得した。

 ボールをセットし、PKに臨もうとするディエゴ・オリヴェイラの前に立ちはだかったのは相手GKの早川だけではなかった。ゴールが鹿島サポーターの前だったため、客席を「アントラーズレッド」に染めた相手サポから凄まじい圧力がかかる。視界全てが赤に染まるほどだ。その様子がよく分かる位置から撮影していた私が感じたことは、ただ一つ。「これは凄いプレッシャーだな…」。キッカーの心中を察しながら、シャッターボタンに手をかけていた。

 そんな緊迫した異様な空気の中、ディエゴ・オリヴェイラは小刻みにステップを踏むと、冷静にゴール右下にボールを流し込んだ。チームメートから祝福を受けた後、とったのは両手の人差し指で耳栓をするパフォーマンス。得意げな、それでいてホッとしたような表情は今でもまぶたに焼き付いている。

 そのシーンを撮影した私は指先に神経を集中しながらも「指で耳栓をしたいくらいのプレッシャーだった」「“何も聞こえないくらい集中した”って言いたかったのか…」など思いを巡らせた。入れて当然だからこそ、重圧のかかるPK。ましてや一面の「アントラーズレッド」の前なら、その重圧は何割増しかになることは間違いない。キッカーに重圧をかけるサポーターの力と、それに立ち向かうプロとしての技術とメンタル。一瞬にサッカーのだいご味が詰まっていた。(写真と文・西海健太郎)

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