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攻めのボール奪取で再び世界一奪い取る!なでしこジャパンW杯まであと1年 池田監督単独インタビュー

[ 2022年7月11日 06:00 ]

ピッチで笑顔を見せる池田監督(撮影・尾崎 有希)
Photo By スポニチ

 来年7月20日に開幕する女子サッカーのW杯オーストラリア・ニュージーランド大会まで約1年となった。11年大会で頂点に立った女子日本代表「なでしこジャパン」の目標は世界一の奪還。21年10月からチームを率いる池田太監督(51)がスポニチ本紙の単独インタビューに応じ、6月の欧州遠征での手応えや今月19日から始まる東アジアE―1選手権への意気込み、今後のチームの方向性などについて語った。

 ――ここまでのチームづくりについて。
 「完成度を点数では表しにくいですね。ただ、就任してから一歩一歩しっかりと前に進んでいる実感はあります。遠征を終えて、再集合したときに“振り出しから”というチームではありません。強固なベースの上にさまざまなものが積み上がっているイメージです」

 ――昨年10月の就任時に描いていたチームづくりのイメージは。
 「自分たちから仕掛けるサッカーをしたかった。相手陣で相手ボールになった瞬間に奪い返す。ボールを奪取したら、優先順位としてゴールをまず目指す。チーム立ち上げに際して東京五輪などのデータを確認したところ、他国に比べて守備でチャレンジ回数が少なく、攻撃ではペナルティーエリア外からのシュートが多かった。そこを伸びしろとして捉え、“もっと前から行こう”と考えました」

 ――「奪う」が一つのキーワードに。
 「ストロングポイントである連係面や組織的な動きをもっと生かすことで、世界トップクラスと距離を縮められると思いました。相手陣でボールを奪う回数が増加すれば、必然的にペナルティーエリア内に進入できる回数も増えるはず。なので、先に“こういうサッカーをやりたい”があったのではなく、データや長所を確認し、今のサッカーを浸透させたという順番です」

 ――理想の池田ジャパン像は。
 「6月の欧州遠征では前からボールを奪いにいくことを強調し、セルビアとフィンランドを相手に成功体験を得て、自信をつけました。局面の切り替えで、意図的な守備から良い攻撃につなげられた。それだけでなく、ビルドアップも練習していますし、全体的な底上げをして多くの引き出しを持たせてあげながら、最終的にはピッチ内の問題解決をパッと選手たちでできるようにさせたい。究極は“監督がいなくても大丈夫”ですかね」

 ――W杯が1年後に迫っている。
 「目標は、もう一度“世界一を奪還”すること。今のままではまだまだ地力が足りません。成長スピードがグッと上がるタイミングを意図的につくらないといけない。強豪国とマッチメークして、新しい刺激を与えてくれる選手をチームに加えて、本当に多方面からアプローチしてチームを強化する。その上で少しの幸運にも恵まれないと世界一にはなれないと思います」

 ――直近の強化の場としてはE―1選手権が7月末に行われる。
 「9月に開催予定だったアジア大会が延期になり、(E―1選手権は)強化という面で貴重な大会です。もちろん頂点を目指したい。国際Aマッチデーの期間外ですが、欧州各国のクラブとは選手派遣について交渉しています。多くの選手の組み合わせを試したいですし、目指す方向性を選手たちに周知徹底しつつ、なでしこジャパンの地盤をより固めていきたいです」

 【欧州遠征VTR】
 ▽6月24日セルビア戦 敵地で5―0と快勝した。前半にFW植木理子(日テレ東京V)が頭で先制点を決めると、後半は途中出場の4選手がゴール。後半36分には高い位置でボールを奪い、最後は初出場のFW千葉玲海菜(千葉)が初ゴールを奪った。

 ▽同27日フィンランド戦 敵地で5―1で大勝した。前半は1―1で折り返し後半はMF遠藤純(エンゼルシティー)やMF長谷川唯(ウェストハム)ら海外組が躍動した。同2分、素早い攻守の切り替えからサイドを崩し、遠藤が決勝点。13分には右CKからゴールが生まれるなど多彩な攻撃パターンも披露した。

 ◇池田 太(いけだ・ふとし)1970年(昭45)10月4日生まれ、東京都出身の51歳。武南高から青学大を経て、93年に浦和に入団。96年に現役を引退し、翌年から同クラブの下部組織のコーチや監督を歴任した。02年から08年にトップチームのコーチを務め、12年からは福岡のコーチに就任。17年からは年代別の女子日本代表の監督を務め、18年にU―20W杯で日本を初優勝に導いた。21年10月からなでしこジャパンを率いている。座右の銘は「凡事徹底」。

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2022年7月11日のニュース