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オフト氏直撃 森保監督成功する 高い戦術理解力、人間的にも「素晴らしい」

[ 2018年7月31日 10:00 ]

元日本代表監督のオフト氏
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 日本代表の元監督で、現在はスペイン・アルメリア在住のハンス・オフト氏(71)がスポニチ本紙のインタビューに応じ、A代表と東京五輪代表を兼任する森保一監督(49)について語った。無名だった森保監督を見いだし、日本がW杯初出場を逃した93年の「ドーハの悲劇」をともに経験した恩師が、兼任監督という大役をこなす愛弟子にアドバイスを送った。

 ――森保監督の現役時代の印象は?

 「彼は私にとって非常に重要な選手だった。戦術理解にたけ、試合展開を読む力があった。彼はマツダ(現広島)に入った当初、ファーストチームのプレーヤーではなかった。だが、光るものがあり、彼には明るい未来があると思っていた」

 ――その森保監督を92年に日本代表に初選出した。

 「彼がマツダに入ってから5年後のこと。マツダ入団時に比べ、彼は成長していた。彼のようなタイプの選手が日本代表に必要だったんだ」

 ――選手時代の長所は何だったか?

 「周りのサポートができ、ピッチ上でバランスが取れる。規律を持ってプレーができ、中盤で確かな守備ができる。彼は期待に応えて、しっかりと仕事をこなしてくれた。特にバランスを取る仕事はとても重要だった。最終ラインから前線までの距離を把握し、的確にポジションを取ってチームにバランスをもたらしてくれた」

 ――彼の人間性や性格についての印象は?

 「ピッチ外では落ち着いた性格の持ち主だがピッチ内ではアグレッシブな姿勢を示す選手。人間的に素晴らしくピッチに入れば戦う姿勢を示せる選手だった」

 ――森保監督との間で印象に残っているエピソードは?

 「私が98年に京都サンガの監督に就任した時、彼の獲得をすぐに試みた。しかし、難しかった。京都が獲得することに広島から大きな抵抗があり、レンタルで迎えるしかなかった。(正式に獲得したかったが)レンタルの1年契約しか結べなかった」

 ――なぜそれほどまで森保監督を必要としたのか?

 「同じ理由ですね。チームを構成する時に必要だったから。戦術にたけ、規律に沿ってプレーできる。試合展開を読む力が、特に素晴らしい。非常に良い。人間的にも優れている。だから、彼を京都に連れてきたかった」

 ――最近、彼と連絡を取りましたか?

 「いいえ。日本にいたときは選手を逐一追っていましたが、離れるとあまり追いかけなくなるものですよ(笑い)。ただ、監督として広島でJリーグのチャンピオンになったと知った時は私もうれしかった。その後も素晴らしい仕事をしていた。日本代表、そして五輪代表の監督に選ばれたことを祝福したい。田嶋会長は良い人選をしたと思う」

 ――A代表と五輪代表の監督を兼任する難しさはあるか?

 「両チームを気に留めながら仕事にまい進してほしい。そのためには良いスタッフが必要でしょう。ただ、彼には“君らしくやってほしい”と伝えたい。プロジェクトが成功すると確信している」

 ――日本を離れた後、森保さんと会ったり話したりしましたか。

 「いや。最後に話したのは私が監督で、彼が選手の時だ。私が浦和にいて、彼が仙台にいた時だから…03年だと思う。とりとめのない話だったが、直接彼と話をしたのはあれが最後だったかな」

 ――教え子が日本代表の監督に就任したことは誇りに思えるのでは?

 「もちろん。私の教え子が指導者になるのはうれしいこと。そして、監督として再び会えることに喜びを感じる」

 ◆ハンス・オフト 1947年6月27日生まれ、オランダ・ロッテルダム出身の71歳。17歳の64年にFWとしてフェイエノールトと契約し28歳までプレー。同国代表ユースのコーチを経験し、82年に来日。ヤマハ(現磐田)コーチ、マツダのコーチ、監督を経て92年4月に日本代表初の外国人指揮官に就任。同年にアジア杯初優勝に導いた。その後は磐田、京都、浦和を率い、外国人監督して歴代5位のJ1通算100勝。13年に日本サッカー殿堂入り。現在は監督業から退いている。

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