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選手権8強の駒大高 大野監督の転機となった昨夏の石川遠征

[ 2016年2月18日 09:00 ]

 今冬の全国高校サッカー選手権では、国学院久我山と駒大高の東京代表2校がそろって8強に進出した。東京の2校出場が定着した83年度以降“アベック8強”は初の快挙。準優勝した国学院久我山だけでなく、同校初のベスト8入りを果たした駒大高も、今大会を沸かせたチームの一つだった。

 その駒大高を率いる大野祥司監督にとって、転機となる出来事があったのは昨夏のことだ。チームは全国総体都大会の準々決勝で敗退。3年生の起用法に頭を悩ませていた頃、石川・金沢で行われた全国の有力校が集まるサッカーフェスティバルにAチームを連れて参戦した。その大会を中心となって運営していたのが、星稜の河崎護監督だった。当時、星稜は全国総体に出場していたが、14年12月の交通事故から復帰したばかりの河崎監督は、石川に残ってBチームを指揮していた。

 「河崎先生は監督の懇親会で一人ずつにお酌していて“腰が低くてすばらしいな”と思った」。Bチームを大切にしよう、Bチームからレベルを上げよう――河崎監督の言葉に大野監督は感銘を受けた。そして、河崎監督から「今年は(全国総体に東京から)関東第一が出てるけど、頑張れよ」と、冬の全国選手権に向けて激励された。

 帰京の際、大野監督は空港で河崎監督と星稜のこれまでの戦いがつづられた本を見つけて購入した。その本によると、以前の星稜も河崎監督が一度3年生を全員メンバーから外して1年生を起用した結果、3年生が奮起。チームの底上げにつながり、その冬の12年度全国選手権では3位入賞を果たしたという。

 「それを読んで、3年を外すことは決して悪いことじゃないな、と思った」。3年生を一度メンバーから外し、危機感を持たせた上で、結果を出してきた選手だけを選手権都大会のメンバーに入れる――大野監督が敢行した荒療治は、5年ぶりの全国選手権切符という形で実を結んだ。「こいつらが変われたのは、河崎先生のおかげなんです。成長させてくれた星稜と(試合を)やって、恩返ししたいですね」。駒大高は東福岡との準々決勝に勝てば、星稜―明徳義塾(高知)の勝者と対戦することが決まっていたが、0―1で惜敗。星稜への「恩返し」こそ実現しなかったが、価値ある8強入りだった。

 歴史を塗り替えた全国選手権から約1カ月。新チームは17日、今季初の公式戦となる東京都1部リーグ・帝京戦に3―0で勝ち、幸先の良いスタートを切った。今季はどんな駒大旋風を起こしてくれるのか、今から楽しみだ。(原田 真奈子)

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2016年2月18日のニュース