×

レーブ監督 10年かけて熟成したパスワークと縦への速さ

[ 2014年7月15日 05:55 ]

優勝トロフィーを掲げるドイツのレーブ監督(ゲッティ)

W杯ブラジル大会決勝 ドイツ1―0アルゼンチン

(7月13日 リオデジャネイロ)
 指揮官が挙げた勝因は“継続の力”だった。皇帝ベッケンバウアー監督が率いた90年以来の栄光をもたらしたドイツのレーブ監督は、表彰台では選手の後方で控えめに歓喜。「我々は55日間ともに戦いプロジェクトを完成させた。しかし実は10年前から始まっていた。ドイツの強みは長い時間をかけて継続して成長してきたことだ」と胸を張った。

 04年にクリンスマン前監督の下でコーチに就任。06年に監督に昇格し、合わせて10年間チームを強化してきた。選手のコンディショニング(体調管理)に関するノウハウは前指揮官が持ち込んだものを継承。今大会のキャンプ地を協会が“自前”で建設して最高の環境を整えたのも、W杯では体調管理が勝敗に直結するとの指揮官の考えが反映されたものだ。

 またコーチ時代から担当する戦術面では「魅力的な攻撃サッカー」を一貫して掲げながら常に進化を模索。08年欧州選手権、10年W杯でともに敗れた王者スペインのパスサッカーを取り入れつつ「ボール保持だけでなく速く攻めることも大切」とチームの強みであるフィジカルの強さと縦への速さを加味した。7―1と大勝したブラジル戦は一つの集大成といえた。

 継続イコール保守的ではない。他競技とのコラボなど革新的な取り組みも行ってきた。08年にバスケットボール選手を招待し「1対1の守備を学べる」と一緒に練習。今大会前はハンドボール、ホッケー、カーリングの選手を講師に招き「刺激になる。例えばハンドボールは点の取り合い、ホッケーはフィジカルの重要性、カーリングは心理戦が学べる」と訴えた。

 継続の力に革新的な刺激を加えて世界を制覇。既に16年まで契約を結んでいる指揮官は「このタイトルは未来への弾みになる。ゲッツェ、ミュラー、エジルらが楽しみな若手がたくさんいる」と黄金期到来を見据えた。

続きを表示

2014年7月15日のニュース