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震災影響 Jリーグ観客伸びず 「地域密着」の理念は再認識

[ 2011年5月9日 16:31 ]

 東日本大震災で中断したサッカーのJリーグは、4月23日の再開から5月8日までに4節を消化した。例年に比べて入場者数が伸びず、震災による全国的な消費冷え込みの影響が顕著に表れた。一方、被災クラブのJ1仙台を筆頭に、各クラブが地域で復興の機運を盛り上げたことでJリーグ創設の原点でもある「地域密着」の理念が再認識されている。

 J1は再開後の2節は18試合中、仙台のホーム試合など8試合で昨季の各クラブの平均入場者数を上回ったが、その後急落した。昨季の同時期との比較では1試合平均約4800人の大幅な落ち込みで、今後の回復の見通しも不透明だ。

 長期的な観点からは、明るい兆しもある。スポンサー契約などに関わるJリーグの事業担当者は、再開後に3連勝した仙台を「復興に立ち上がる宮城のシンボルになった」と表現した。その結果「あらためて地元クラブを支援するメリットを分かってくれた協賛社は多い」と言う。

 全クラブは被災地支援のイベントなどを自発的に実施した。被災地域から約4000人分の野菜を買い、来場者に無料で配ったJ1磐田の幹部は「自治体や地元企業も協力してくれて、クラブとホームタウンが一つになれた」と、クラブと地域が絆を強める契機になったと捉えた。

 ことしからJリーグのスポンサー契約などに参画する広告大手、電通のスポーツ局サッカー事業室長で、Jリーグのマーケティング委員も務める小森秀二氏はファン離れなど現状の厳しさを認めた上で「こういう時期だからスポーツが醸し出せる力がある」と、今後に期待感をのぞかせた。

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2011年5月9日のニュース