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大分 J2得点王は20歳の韓国代表MF

[ 2010年4月28日 11:28 ]

現在J2得点ランク1位でW杯韓国代表入りを目指す、大分MF・金ボギョン

 サッカーW杯南アフリカ大会の開幕まで、あと44日。世界で最も光り輝く舞台に、手をかけようとしている戦士が九州にいる。J2大分に今季加入したMF金ボギョン(20、韓国)。ここまで8試合で6得点とJ2得点ランク首位を走り、W杯イヤーにフル代表に割って入った。韓国代表の次世代を担う超新星はいま、母国・韓国と新たな仲間を得た大分の2つの誇りを懸けて、最終サバイバルに挑んでいる。

 日の傾いた練習グラウンド。全体練習終了から1時間たっても、金の居残り練習は続いた。コーチの前で左足からのFKが延々ネットを揺らす。「サッカーで完ぺきであることは少ない。でも僕の目標は完ぺきなサッカーができる選手になること」。穏やかな口調と落ち着いた態度は、20歳の完成域を超えていた。
 弘益大在学中から「KリーグよりJの方が自分のスタイルに合う」と日本行きを願い、休学して1月にC大阪と契約。だがC大阪はすでに外国人枠が埋まり、即レンタルで大分に移籍した。大分入り翌日に韓国代表に初招集され、東アジア選手権出場。日本戦は2得点に絡んだ。欧州組も加わった3月のコートジボワール戦も最年少で再招集。出場機会はなかったが、遠征先の英国から日本に戻って2日後のJ開幕戦で得点すると、そのまま3戦連発。ずばぬけた左足の精度と突破力はいまや、韓国代表MF朴智星(マンチェスターU)とも、日本代表MF中村俊輔(横浜)とも例えられる。
 国を背負う代表の重さは、異国にいるからこそ深く感じる。「代表はサッカー選手の責任であり、誇り」。中学生だった02年日韓大会は、母国の4強入りに自宅のテレビを食い入るよううに見た。U―20代表として12年ロンドン五輪出場を見据えた昨年は、W杯出場は14年ブラジル大会を描いていた。だが日本に来て加速した成長は、自身も「予定より早まった」という南ア行きが見えてきた。
 元韓国代表でもある大分の皇甫官監督は「彼は若いが、試合の流れを変えられる選手。朴智星でも中村でもなく、金ボギョンだ」と期待する。韓国W杯代表は今月末にも予備登録メンバーが発表され、5月中旬にはベンチ入りの23人に絞り込まれる。最後の厚い関門にも「W杯に手が届くところにいる。日本に来て良かったと言えるよう、そのチャンスをつかみたい」。2つの国の誇りを背負い、夢への扉を押し開く。

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2010年4月28日のニュース