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主将も知らない17歳無名FWがマンU救った

[ 2009年4月7日 06:00 ]

 イングランドのプレミアリーグ第31節の2試合が5日に行われ、マンチェスター・ユナイテッドはアストンビラに3―2で競り勝ち、首位を守った。2―2の後半ロスタイムに公式戦初出場を果たした17歳のイタリア人FWフェデリコ・マケダが決勝点。チームを首位陥落危機から救い、7日の欧州CL準々決勝第1戦ポルト戦へ弾みをつけた。

 後半ロスタイムの48分だった。2―2で終了目前。引き分ければ2位へと転落し、中1日で迎える欧州CLポルト戦にネガティブなムードを引きずりかねない状況だったが、マケダがすべてをポジティブに変えた。意表を突く右ヒールで縦パスを後方に流してDFをかわすと、素早く反転して倒れ込みながら右足シュート。値千金の一撃をゴール右隅にねじ込んだ。

 「夢のような1日になったよ。ああいうゴールを決めてデビューしたいと夢に見ていたんだ」

 ラツィオの下部組織で育ち、16歳になった07年夏にマンチェスターUユースに加入。昨夏にはプロ契約を結んだが、トップチームでは若手主体のリーグ杯でさえ出場経験はなかった。しかし、3月30日のリザーブリーグ・ニューカッスル戦でハットトリック。ファーガソン監督の目に留まった。

 5日はU―19イタリア代表のウクライナ戦に招集されていたが、ベルバトフの故障とルーニーの出場停止という“追い風”を受けて辞退した。初めてトップでベンチ入りし、1―2の後半16分から出場。名将から「シンプルにプレーしろ」と送り出されると、ものおじしない積極的なプレーでリズムを与え、欠場者続出に苦しんだ連敗中のチームを最後の最後で救った。

 主将ネビルでさえ「きょうまで見たことがなかった」と明かした無名の存在。ベルバトフが予定通り2週間後に復帰すればベンチ入りさえ困難になるが、恐れ知らずの17歳は「前進を続けて楽しみたい」とチャンスを逃すつもりはない。2月にはCLメンバーに追加登録済み。指揮官は「地に足をつけないと駄目」とクギを刺したが、7日のポルト戦でもきゅう覚と決定力に優れたスーパーサブへの期待は高まる。ゴール後にはスタンドにいた家族の元へ駆け寄って初の警告を受けた夢見心地のシンデレラボーイ。C・ロナウドやルーニーを擁するマンUからまた新たな才能が飛び出した。

 ◆フェデリコ・マケダ 1991年8月22日、イタリア・ローマ生まれの17歳。16歳となった直後の07年9月1日にラツィオ下部組織からマンU入り。今季はユースで16戦10得点の成績を残してリザーブチームに昇格し、ここでも13戦8得点と活躍。1メートル81、72キロ。

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2009年4月7日のニュース