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「五輪特需」への期待拡大 建設、旅行業界に恩恵

[ 2013年9月9日 19:15 ]

 2020年の夏季五輪の東京招致が決まり、経済界は「五輪特需」に大きな期待を寄せる。関連施設の整備で不動産や建設業界は受注増を当て込むほか、増加が見込まれる外国人観光客の取り込みに向け、旅行業界も準備に追われそうだ。株式市場でも恩恵を受ける「五輪銘柄」が注目され、早くも買い注文を集めている。

 東京五輪では、オリンピックスタジアムや選手村などの施設建設に約3800億円が投じられる計画だ。選手村は五輪終了後、分譲マンションなどとして売却される予定となっている。都心中心に競技が開催されるため、高速道路の老朽化対策や施設周辺の再開発が進む可能性がある。

 ゼネコン大手の大成建設は「大規模プロジェクトの発注が見込まれ、大いに期待している」(広報)と指摘。三菱地所も「東京の国際都市としての競争力を向上させるには、インフラの更新などが必要となる」(杉山博孝社長)とし、意欲を見せている。

 五輪開催時には、観戦ツアーなどで海外から訪日する外国人が大幅に増えるのは確実だ。東京の知名度アップで、KNT―CTホールディングス傘下の近畿日本ツーリストは「開催前に日本を訪れてみようと考える外国人の旅行者も増えるのではないか」(広報)と分析。JR東日本の冨田哲郎社長は「海外からのお客さまが安心して快適に旅行し、滞在していただける準備をしていきたい」としている。

 スポーツ用品業界も、競技人口の増加などで市場拡大を期待している。ミズノによると、1998年の長野冬季五輪の際には選手団に提供したユニホームのレプリカが当初見込みの8倍も売れたという。

 五輪開催が近づいてくれば、テレビの買い替え需要も出てきそうだ。現行の16倍の解像度を持つ「8K放送」に対応した次世代テレビの登場も見込まれており、大手電機メーカーが開発に力を入れている。小売業界からも「世界中からいらっしゃる方々に、日本の新たな価値を提供し、百貨店ならではのおもてなしをしたい」(大西洋・三越伊勢丹ホールディングス社長)と歓迎の声が上がる。

 9日の東京株式市場は「五輪銘柄」が買われ、大成建設や鹿島がことしに入ってからの最高値を更新。JR東日本などの鉄道株も上昇したほか、ミズノやデサント、アシックスのスポーツ用品会社も急騰した。市場では「当面は『五輪銘柄』が相場を支える展開になるのでは」(大手証券)との見方が出ている。

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2013年9月9日のニュース