【ドバイ国際競走】パンサラッサで挑む吉田豊「個性のある馬で自分の競馬ができるかどうか、その1点だけ」

[ 2023年3月21日 05:17 ]

ドバイ遠征を前に「中東」の麻雀牌のクッションを手にする吉田豊(撮影・郡司 修)
Photo By スポニチ

 今週末25日は中東でドバイ国際競走が開催され、それぞれのレースで出走馬が決定した。日本からは史上最多27頭が大挙遠征。メイン「第27回ドバイワールドカップ」は出走馬14頭中8頭が日本馬を占め、11年ヴィクトワールピサ以来の勝利に期待が膨らむ。世界最高賞金のサウジCを制したパンサラッサ(牡6=矢作)に騎乗する吉田豊(47)が意気込みを語った。

 数奇な運命で出合った人馬が今年もドバイへ。だが、挑戦するのは連覇が懸かるターフではなく、ワールドカップだ。レース選択を伝え聞いた吉田豊に驚きはなかったという。「そこは全てお任せなので。矢作先生の一貫したチャレンジ精神みたいなものもありますし、パンサラッサのことは先生が一番分かっていますから」。

 人馬が初めてコンビを組んだのは2年前。パンサラッサ、4歳の秋。「長くやっていればいい出合いは意外とあるけど、今回は驚きました。2歳の時に乗っていたとかじゃなくて、古馬になってから。それもはじめは府中を使うからたまたま依頼してもらっただけですから」。代打ともいえるオクトーバーSの手綱。一発回答が夢物語の始まりだった。「先生からは“行けたら行って”の指示で、僕自身もスローに落として逃げるタイプではないので大逃げの形に。惜しい競馬だったね、でまた乗せてもらえる世界ではないので、ワンチャンスを生かそうという気持ちでした」。

 次に手綱が巡ってきたのは翌年の中山記念。再び大胆なペースで逃走劇を実らせた。「福島記念と有馬記念は菱田君が乗って、中山記念でまた、たまたま声がかかりました。運命の巡り合わせというか幸運もあったと思います」と振り返る。次走はドバイターフに決まり、外国人騎手への乗り替わりを覚悟していたそう。矢作師から継続騎乗を聞かされ、「日本の騎手としての誇り、高ぶりはありました」。1着同着ではあったが、最高の結果で起用に応えた。

 サウジカップ王者として臨む今年のドバイ。サウジとのダートの質の違い、ぐるっと1周のコース形態、未知のライバルなど乗り越えなければならない壁は多いが、吉田豊がすべきことは決まっている。「パンサの競馬さえできれば、相手関係、馬場どうのこうのは関係ない。個性のある馬で自分の競馬ができるかどうか、その1点だけ。力を出せない形になると納得できないだろうから、今回も思い切って乗りたいです」と力強く宣言した。4着以上で総獲得賞金がアーモンドアイを抜いて歴代1位となるが、「いつでも目の前の1勝が大事なのは変わらない」とそれも関係ない。日本語で応えたサウジのヒーローインタビュー。「英語ができないので(笑い)。また、そうなればいいな」。日本の競馬ファンを再び笑顔にしてくれるはずだ。

 47歳の勝負師のたまの息抜きは趣味のマージャン。「やるのはもちろん、見ているだけでも楽しい。最近はMリーグを見ているって感じです」。トレセン屈指の腕前で知られるが、その勝負勘は競馬にもつながっている。「マージャンでも負けず嫌いだし、少なからず影響はあると思います。どうすることが最適なのかを考える力が身についているのかも」と笑みを浮かべる。世界最高賞金のサウジカップ13億円は一発ツモ。中東連チャンを目指し、今度はドバイでステッキを振るう。

 ≪矢作師とは“競輪友達”≫吉田豊が矢作師と出会ったのはデビュー1年目。「まだ先生は助手でしたが、北海道滞在で馬を乗せてもらった時に、食事したりしてかわいがってもらいました」。04年ドバイワールドカップ(リージェントブラフ)に騎乗する際は、当時技術調教師だった師が同行。「先生が一緒に行きたいと言ってくれて。あの頃はパッケージで騎手本人以外にもう1人連れて行けたんですけど、自分の兄貴も行きたいって言い出して(笑い)。先生の席は僕が自分で手配した」という。ドバイで深まった絆はドバイで結実。「義理堅いというか、開業してからもずっと乗せてもらって感謝しかないです。メジロドーベルの子(レーヌドブリエ、ホウオウドリーム)もわざわざ乗せてくれて…。ずっと恩返ししたい思いはありました」。昨年のドバイターフVの喜びはひとしおだったそう。2人は共通の趣味の“競輪友達”でもある。

 

続きを表示

2023年3月21日のニュース