【紫苑S】丹内の勢い×シーグラスがG1切符へ 充実の夏から飛躍の秋へ

[ 2022年9月9日 05:30 ]

美浦トレセンの丹内(撮影・西川祐介)
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 先週で終了した夏の北海道シリーズで存在感を示したのが丹内祐次(36)だ。開催後半にかけて白星を量産し、22勝を挙げて北海道リーディング3位。エルムS(フルデプスリーダー)で重賞制覇。道営馬での特別Vなど、人気薄でのファインプレーも目立った。充実の夏を経て、さらなる飛躍を目指す秋。新ステージが始まる今週は紫苑Sのシーグラス(武藤)でG1切符獲得を目指す。

 充実の夏だった。丹内は今夏の北海道シリーズで22勝。横山武(41勝)、武豊(24勝)に次ぐ堂々のリーディング3位。今年の勝利数も50勝とし、キャリアハイだった昨年の38勝を既に大きく上回っている。「いい馬が回ってきて、自分自身も流れに乗れた」(丹内)。中でも強烈なインパクトを残したのが道営所属馬での激走。クローバー賞のジョリダム、すずらん賞のコスモイグローク。共に8番人気の伏兵で、中央の良血馬を撃破した。「スタッフが凄く喜んでくれて僕自身もうれしかった。門別は交流騎乗でお世話になっているし少しは恩返しできたかな」と振り返る。

 北海道函館市の出身。ご当地ジョッキーとして毎夏、北海道を拠点として地元開催に貢献してきた。滞在競馬は騎手自ら調教で仕上げ、レースに臨むケースも多い。「もう10年以上、夏は毎朝10頭以上の調教をつけてきた。夏は暑さもあって体調維持が難しい。函館ー札幌間の輸送もある。そういう中でどう仕上げるか。自分の中に“引き出し”が増えてきた」。積み重ねた経験値に加え、今年デビューした後輩・土田のサポートも大きかった。「土田君には調教の頭数が多すぎて大変な時に装鞍などを手伝ってもらった。本当に助かりました」と感謝する。

 夏の勢いを秋へ。中山開幕の今週は紫苑Sのシーグラスで重賞Vを目指す。冬の小倉で2連勝を飾って以来の再コンビ。最終追いにも騎乗し「楽に動けていた。春より一回り大きくなって体に幅も出た。確実に良くなっている」と期待する。「さすがにメンバーが強いですが…」と正直な感想も口にしたが、今夏、何度も伏兵をVへと導いた鞍上なら期待せずにはいられない。デビュー19年目の夏、地道な努力の積み重ねでまずは小さな花を開かせた36歳。さらなる大輪を咲かせるべく、新たなステージへ歩を進める。 

 ◇丹内 祐次(たんない・ゆうじ)1985年(昭60)11月5日生まれ、北海道函館市出身の36歳。函館競馬場の近くで生まれ育ち、騎手を志す。04年デビュー。同年4月10日福島2R(スピードタイガー)で初勝利。JRA通算9639戦406勝。うち134勝を北海道(札幌70勝、函館64勝)で挙げている。

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2022年9月9日のニュース