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【桜花賞】ナミュール95点 山椒は小粒でも…飛節進化しスーパーボディーに

[ 2022年4月5日 05:30 ]

鈴木康弘「達眼」馬体診断

ナミュールの立ち姿
Photo By スポニチ

 小粒でもピリリと辛い山椒(さんしょう)の実が桜の季節に色づいた。鈴木康弘元調教師(77)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。第82回桜花賞(10日、阪神)では昨年の阪神JF優勝サークルオブライフと共にナミュールをトップ評価した。達眼が捉えたのは小さな体に備わった鋼のようにしなやかで強じんな筋肉。山椒は小粒でも…のことわざを体現するスーパーボディーだ。

 つくば市内の自宅から足を延ばして筑波山のふもとを散策すると、桜が満開を迎えています。その傍らには新芽を伸ばした山椒の低木。雌株にはあと1、2週でつぼみができ、その後、緑色の実が付くと、収穫されて実山椒のつくだ煮など初夏の味覚になります。和(あ)え物に使う若い芽や薬味に用いるつぼみの花山椒も美味ですが、舌をしびれさせるほど辛いのは実山椒。桜花賞で人気を背負うナミュールはそんな小粒でもぴりりと辛い雌株の実を想起させる牝馬です。

 体重430キロ前後の小さな馬体に強じんな筋肉を付けています。首や肩も立派ですが、トモの筋肉はボリューム感満点。500キロ近い大型牝馬にも負けないほどの迫力があります。ダイワメジャー(母の父)の血統は岩のように分厚く強固な筋肉を付ける傾向がありますが、この牝馬の場合は分厚いのに鋼のようにしなやか。トモに連結する飛節は昨年の阪神JF時よりも大きく見えます。トモの鋼パワーをしっかりと受け止められる飛節です。

 冬毛が目立った阪神JF時とは見違えるほど毛ヅヤも良くなりました。鹿毛の被毛が春の日差しにまぶしく輝いています。春を迎えて色づく山椒の実のように。立ち姿も同レース時より力強く映ります。大きな耳と鋭い目を左前方に向けながらハミを穏やかにくわえています。活力にあふれた山椒の春木立のように。気持ちの充実ぶりを伝える姿です。阪神JFでは2馬身近く出遅れて後手に回りましたが今の精神状態ならゲートで立ち遅れることもないでしょう。

 一見、尾にボリュームがないように映りますが、よく見ると尾の付け根は太い。尾の先が細く短くなっている。山椒の木を剪定(せんてい)したように。短く切られた枝は再び伸びて新しい実を付けます。ナミュールも再び尾が伸びた時には新たな才能の実を付けている。そう感じさせる伸びしろたっぷりのしなやかな馬体。小粒でもピリリと辛い桜の女王候補です。(NHK解説者)

 ◇鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の77歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~04年に日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。

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2022年4月5日のニュース