【秋華賞】アカイトリノムスメ母子制覇 戸崎完璧タクトでラスト1冠導いた

[ 2021年10月18日 05:30 ]

秋華賞を制したアカイトリノムスメ(左)
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 ラスト1冠でG1獲りの思いが成就!「第26回秋華賞」は17日、スタンド改修工事中の京都に替わって初めて阪神で行われ、道中5番手で流れに乗った4番人気アカイトリノムスメが直線抜け出してV。国枝厩舎の先輩でもある3冠牝馬アパパネとの母子制覇で春2冠(桜花賞4着、オークス2着)の悔しさを晴らす勝利となった。1番人気ソダシは10着。桜花賞との2冠制覇はならなかった。

ラスト1冠に懸ける陣営の思いを乗せ、黒鹿毛の馬体が加速した。直線、白毛のアイドルホースが馬群に沈む展開で勢い良く伸びたのは同じ勝負服、アカイトリノムスメだ。ラスト100メートルで先頭に立つと最後はファインルージュの追い上げを半馬身差でしのぎ、G1初制覇のゴールへ。3走前のクイーンC1着以来のコンビとなった戸崎が力をフルに引き出した。

 「1週前の追い切りに乗せていただいたときに精神面がドッシリしたな…と感じたんです。以前より体幹が強くなって、走りがしっかりしていました。最後はよくしのいでくれました」

 スタートから道中の立ち回り、直線の攻防と、ほぼ鞍上が思い描いた通りのレース運び。「ゲートをうまく出て二の脚がついたし、いいポジションを取れました」。ソダシを視界に入れながら道中5番手で折り合いをつけ、余力を十分に残して直線へ。スムーズに進路を確保し、あとは手応え通りに脚を使うだけ。「ラスト600メートル過ぎからジワジワ(位置を)上げていって最後は反応良く伸びてくれました」とパートナーを称えた。戸崎にとっては昨年チャンピオンズC(チュウワウィザード)以来のG1勝利。「G1は特別ですね」と喜びをかみしめた。

 この馬を産んだアパパネ、アーモンドアイといった名牝を育てた東の名門・国枝厩舎。11年前、母は休み明けのローズS4着をステップに3冠制覇を成し遂げ、逆に3年前のアーモンドアイはオークス以来の競馬で3冠をモノにした。その経験を踏まえ、アーモンドアイと同じパターンでオークス2着から直行ローテを選択。JRA・G120勝目となった国枝師は「牧場で見たときに馬がだいぶしっかりしていたけど紫苑Sを使うと次がどうなのかなと。アーモンドアイもそうだったけど(休み明けでも)何とかなるかなと思った」と笑みを浮かべる。春に悔しい思いをした阪神(桜花賞4着)で今度は最高の結末が待っていた。

 両親ともに3冠馬という超良血ディープインパクト産駒。夏を越しての成長点については「体はそんなに変わっていない」とした上で「気持ちが穏やかになった。今でも跳ねたりはするけど基本的に余計なことをしなくなった」と精神面の変化を強調した。まだ3歳の秋。伸びしろはたっぷり残っている。「これをステップにして、また大きいところを獲ってもらいたい」と期待を寄せた。次走は「オーナーと相談して決めたい」と前置きし、エリザベス女王杯(11月14日、阪神)やジャパンC(11月28日、東京)が候補。牝馬3冠戦線のラストを勝利で締め、古馬との戦いに打って出る。 

 ○…「3冠馬同士」という配合はホースマンの夢。米国では74年ニューヨーク牝馬3冠(エイコーンS、マザーグースS、CAAオークス)を制したクリスエヴァートに、73年米3冠馬セクレタリアトが配合され、生まれた産駒はそのものずばりシックスクラウンズ(6冠)と名付けられた。同馬はG13着などの活躍をしたのち繁殖入りし種牡馬チーフズクラウンの母となったほか、ひ孫に09年ダービー2着リーチザクラウンがいる。またクリスエヴァートには後に70年英3冠馬ニジンスキーも配合されている。

 アカイトリノムスメ 父ディープインパクト 母アパパネ(母の父キングカメハメハ)18年4月16日生まれ 牝3歳 美浦・国枝厩舎所属 馬主・金子真人ホールディングス 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績7戦4勝(重賞2勝目) 総獲得賞金2億2268万円。馬名の由来は赤い鳥(母アパパネ)の娘。

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2021年10月18日のニュース