【日本ダービー】22歳横山武 エフフォーリアで戦後最年少Vへ「“勝つ”という自信を持って臨みたい」

[ 2021年5月24日 05:30 ]

エフフォーリアで皐月賞を制しポーズをとる横山武(右)
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 無敗2冠を目指すエフフォーリアを駆るのは東の新鋭・横山武史(22=鈴木伸)。ダービー2勝の名手・横山典弘(53)を父に持つ騎手界のサラブレッドは昨年、デビュー4年目で関東リーディングを獲得。2度目の騎乗で戦後最年少でのダービー初制覇を狙う。大舞台に挑む意気込み、そして偉大な父への思いを熱く語った。

 4戦無敗で1冠目の皐月賞を制したエフフォーリア。2着タイトルホルダーに3馬身差をつける楽勝だったが、馬上の横山武は必死だった。「普段は“抜けたな”と思った時点でターフビジョンを見たり、後ろを振り返ったりするのですが…。皐月賞は確認する余裕がなかった。ゴールまでガムシャラに追っていました」。無敗馬で大舞台に挑む重圧は想像以上。一方で愛馬に対する信頼が揺らぐことはなかった。「人気も背負っていたし、結果を出さなくてはいけないというプレッシャーはあった。でも絶対に勝負になる馬だと思っていたので楽しみも大きかった。レース前、鹿戸先生に“思い切り乗ればいい”とだけ言われ、いい意味で緊張がほぐれた。憧れであり、夢の、目標の一つであった舞台を勝つことができたのは最高でした」

 ダービーは19年リオンリオン(15着)以来、2度目の騎乗となる。父・典弘の騎乗停止により、急きょ白羽の矢が立った。「全てのホースマンの夢であり、乗ること自体が難しいレース。代打という形ではあったが凄くうれしかった」と振り返る。

 その父は09年ロジユニヴァース、14年ワンアンドオンリーでダービー2勝をマークしている。「最初の優勝は小学5年生で自宅でテレビ観戦。まだ乗馬も始めていない頃でしたが、そんな僕でも分かるくらいの凄いレース。テレビで見ているだけでも緊張した」。2度目は競馬学校生。実習の一環で東京競馬場で生観戦した。「馬に乗る難しさを知り、騎手になりたいという気持ちも強くなっていた。前回とは見る目が違う。憧れの人が勝ったという興奮も凄かった」

 22歳3カ月28日での皐月賞制覇はレース史上2番目の年少記録。一方、父の初クラシックは98年皐月賞(セイウンスカイ)。デビュー13年目、30歳だった。既に父を超えた。そんな周囲の声には「父の頃とは時代も馬も相手も違う。たやすく比較するのは違うと思います」。きっぱり否定した上で続けた。「ダービーは全ての騎手が特に勝ちたいレース。乗るだけでも大変だが、勝つとなるともっと大変。そんなレースを2勝もしている父は、改めて凄いなと思います」

 無敗2冠に挑むダービーには新たなライバルも登場する。「サトノレイナスは強い。それに皐月賞で負かした中にも東京で本領発揮という馬もいるでしょう。強敵ばかりですが“勝つ”という自信を持って臨みたい」と決意を新たにする。一方で「緊張はします。想像しただけでも」と本音も隠さない。その上で「僕自身も皐月賞からダービーへの6週間で、さらに経験値が積み上がる。例えば、何の関係もないように見えるダート1200メートルのレースも大事な部分は同じ。一つのレースも無駄にしないようにしたい」と気を引き締める。

 父に憧れ、騎手を志し、今も背中を追い続ける横山武は最後をこう締めくくった。「僕自身、憧れてもらえる存在になりたい。感謝の気持ちを忘れず、お手本にしてもらえるよう、しっかり騎乗したい」

《祖父も伯父も兄も騎手》横山武史は1998年(平10)12月22日生まれの22歳。祖父は昭和の大騎手・富雄氏(83年引退、09年死去)。伯父の賀一氏も元騎手(現競馬学校教官)、父・典弘、兄・和生(28)が現役騎手という競馬一家で、幼少期から自然と騎手を志す。14年に競馬学校入学。17年3月4日、中山1Rでデビュー(ルーナデラセーラー7着)。同年4月16日の福島9Rヒルノサルバドールで初勝利。デビュー年は13勝。その後は18年35勝、19年54勝と着実に白星を積み上げ、4年目の昨年に94勝。67年郷原洋行の23歳を抜き史上最年少で関東リーディングを獲得。今年も既に34勝(重賞4勝)で全国リーディング7位(関東2位)につける。JRA通算230勝(23日終了現在)。目標とする騎手はデビュー時から一貫して父・典弘。「癖のあるなしに関係なく、どんな馬でも乗りこなす姿を尊敬している」

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2021年5月24日のニュース