【ジャパンC】ルメール アーモンドアイV確信!“ラブストーリー”は伝説に

[ 2020年11月24日 05:30 ]

最高の有終舞台(1)

ルメールとのコンビで天皇賞・秋を制し、史上最多の8冠を達成したアーモンドアイ
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 日本競馬史の伝説となる「第40回ジャパンC」は29日、東京競馬場でゲートイン。無敗の3冠馬コントレイル(牡3=矢作)&デアリングタクト(牝3=杉山晴)を、最強女王アーモンドアイ(牝5=国枝)が迎え撃つ世紀の一戦。スポニチ本紙ではレース当日まで連日詳報を届ける。連載「最高の有終舞台 アーモンドさあ9冠締め」では、同馬を支えるキーマンを取材。初回は、天皇賞・秋の涙が感動を呼んだ主戦クリストフ・ルメール(41)の胸中に迫る。

 世紀の対決まであと5日。女王アーモンドアイは、美浦トレーニングセンター(茨城県)で静かに決戦の時を待っている。23日朝、管理する国枝師は「カイバもよく食べて順調。ここまで来たら新たに何かを付け加えるのではなく、このままでいきたい。あと一戦、頑張ってほしい」とラストレースに挑む愛馬の様子を報告した。

 去る11月1日、天皇賞・秋で日本競馬史上初の芝G1・8勝を達成。レース後、ひょうひょうとG1を勝ち続ける仕事人ルメールが人目をはばからず馬上で涙を流した。国枝師は言う。「彼の涙がG18勝の価値を高めてくれた」

 涙のワケは重圧からの解放。ルメールを襲ったプレッシャーは、ファンの期待や関係者の思いだけではなかった。自らの信念。「アーモンドは競馬史に刻まれるべき馬」。8冠馬はいまだかつていない。ともに蹄跡なき境地へ。強く願い、夢がかなった。「彼女は伝説になった。50年後も、皆がアーモンドを覚えている。それがうれしい」

 15年に日本へ移籍。以後6年間でつかんだJRAのG1は29を数える。多くの名馬に騎乗したが、アーモンドは特別だった。17年8月の新馬戦。2着に敗れて引き揚げてくるなり、笑顔で国枝師に伝えた。「この馬は大丈夫。心配しないで。次はeasy win(楽勝)です」。新馬離れしたパワー。「長いキャリアはまだ想像しなかったけど、ポテンシャルは絶対的だった」。期待の2歳馬は、瞬く間に日本一になった。

 ルメールは同馬との思い出を“Love Story”と表現する。「新記録は達成したので、今回はBonus(ボーナス)。楽しみ」。物語のエピローグとするには、豪華すぎるメンバーが集結したラストラン。鞍上に天皇賞前の気負った姿はもうない。目下のライバル2頭についても、包み隠さず印象を語った。

 「コントレイルは乗りやすそうで、いい瞬発力がある。(アリストテレス騎乗で2着の)菊花賞でファイトできることも分かった。デアリングタクトは一番強い。オークスは馬の間をフラフラしながら凄い脚。53キロの重量も大きなポイント。2頭とも負けていない。リスペクトしています」

 誰もが認める国内最強ジョッキーは愛馬の最強を証明するため、自然体で大一番に臨む。最後は、おなじみのフレーズでこう締めくくった。「アーモンドとならどんな相手でもNo Fear(恐れない)。勝つ自信があります」。

 ◆クリストフ・ルメール 1979年5月20日生まれ、フランス出身の41歳。父パトリスは障害の名手。99年に母国でデビュー。03年パリ大賞でG1初制覇。02年から短期免許で来日。05年有馬記念をハーツクライで制しJRA・G1初V。15年にJRA騎手免許取得。18年には215勝を挙げJRA年間最多勝記録を更新。思い出のレースは20年天皇賞・秋。

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