【ジャパンC】矢作師の競馬愛「枠を超えた盛り上がりを」 “後進に夢を与える”黄色いランボルギーニ

[ 2020年11月24日 05:30 ]

コントレイルの3冠記念スイーツを手に笑顔を見せる矢作師
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 競馬界をリードするトップトレーナー・矢作芳人師(59)がジャパンCに向けて胸の内を激白。自身が管理する無敗3冠馬コントレイル(牡3)の魅力をたっぷり伝えつつ、スターホースが集結する歴史的一戦が最高に盛り上がってほしいと強く願う敏腕調教師。その言葉は競馬愛にあふれていた。

 競馬ファンに2つの感情が去来した。コントレイルは菊花賞で3冠を達成。3000メートルを走り抜き、ゴール前は2着アリストテレスとの叩き合い。タフなレースだった。ジャパンCでの雄姿を見たいが、疲れも心配。そんなやきもき感とは裏腹に、矢作師の答えは明快だった。

 「何も悪いところがないので、使わない理由がない。体重的にも毛ヅヤも問題ない。レース間隔だけを考えれば、有馬記念という選択肢もある。ただ、適性のことを思うと中山の2500メートルよりは、ジャパンカップかなと思います」

 デビューから7戦7勝。スーパーホースへ昇華する過程で、驚きを持ったのが2走目の東スポ杯2歳Sだった。2着を5馬身ちぎり、1分44秒5のレコードV。触れたのは圧巻の内容ではなかった。

 「コンディションが悪いとかではなく、あの時だけ少し調教が足りないかなと思った。“もう1本やりたかったな”という状態でどれくらい走るかなと。だから1番人気になった時にびっくりしたくらい。勝ち方だけではなく状態面も踏まえると、あの1勝は価値が高かったですね」

 レース後、2着アルジャンナを管理する池江師からこう言われたという。「生まれた年が悪かった。全部獲られた」。それくらいのインパクトを刻みつけた。1年の時が流れ、現実となった。矢作師に改めて、3冠馬を語ってもらった。

 「軽さが武器。これだけの競馬をしても脚元に何も来ないのは、その軽さがあるからですよね。それに調子の波がないというのが凄い。コントレイルって常にいいまま。今回は落ちているな、と感じたことがない。“これで負けたら仕方ない”という感じで、これまではすがすがしく送り出せています」

 頂上決戦まであと5日。史上最強のメンバーがそろったドリームマッチ、歴史的「11・29」へのカウントダウンが始まった。

 「みんなでジャパンカップを盛り上げてほしい。昔の競馬ブームだった頃の、競馬の枠を超えたような盛り上がりをしてくれるとうれしいですね」

 競馬を愛する人々を喜ばせたトレーナーの選択。その中には「馬も好きだけど、何より競馬が好き」という思いがある。最強のメンバーで一体どの馬が強いのか。ファンの心を揺さぶる最高のレースになれば…。それこそが矢作師の願いだ。

 ≪“後進に夢を与える”幸福の黄色いランボルギーニ≫幸福の黄色いハンカチならぬ、黄色いランボルギーニだ。昨年のオークス前に納車された矢作師の愛車。「ランボルギーニが初めて出したSUVの車で凄く人気なんですよ。この車が来て、中央と海外でG1を9個勝った。厩舎カラーだから赤にしようと思ったけど、赤はフェラーリ、ランボルギーニは黄色だよって言われてね」と矢作師。誰もがうらやむ高級車。そこにはポリシーもある。「夢を与える職業だから、そういう車に乗るべきだと思っていて、車は意識していました。“矢作くらい成績を残していたら、あんな車に乗れるんだ”って。後進に希望を持ってもらえればね」と語った。

 ◆矢作 芳人(やはぎ・よしと)1961年(昭36)3月20日生まれ、東京都出身の59歳。日本有数の進学校、開成高校を卒業後、オーストラリアに渡り武者修行。帰国後の84年、栗東トレセンに入り、厩務員、調教助手を経て04年、14度目の挑戦で調教師試験に合格。05年3月に開業して26日中京9R・テンザンチーフで初勝利。JRA通算6995戦676勝、うち重賞45勝、G1は12年日本ダービー(ディープブリランテ)、19年有馬記念(リスグラシュー)など13勝。

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