【小倉記念】長岡 アールスターで“恩返しV”デビュー9年目、杉山晴厩舎とつかんだ初重賞制覇

[ 2020年8月17日 05:30 ]

<小倉記念>杉山晴師(左)と笑顔で記念写真を撮る長岡(撮影・中村 達也)
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 真夏の小倉で、こん身の“恩返しV”だ。デビュー9年目の長岡に導かれた10番人気アールスターが直線内から抜け出し、人馬ともに重賞初制覇を飾った。検量室前では、出迎えた杉山晴師とガッチリ握手。喜びを分かち合った鞍上は、初めてのヒーローインタビューで感謝の思いを伝えた。

 「一番は、このような大きい舞台に乗せていただいたオーナー、杉山先生、厩舎スタッフに感謝の気持ちを伝えたくて。結果を残せて、ホッとしています」

 これが重賞初Vとは思えない絶妙な立ち回り。スタートを決めて好位をキープすると、そのままラチ沿いから離れず直線へ。粘るタニノフランケルと内ラチにできた、わずか1頭分のスペースを逃さなかった。「いい手応えで回ってきたし僕が進路を探すだけでした。狭い所をひるまず入ってくれましたね」と初コンビのパートナーを称えた。

 「まさか、美浦所属から栗東に来てチャンスを頂けるとは思っていなかった。こういう形で、恩返しができたので良かったです」

 実家の和歌山から遠い美浦所属で12年に騎手デビュー。17年4月の落馬事故で腎臓破裂の大ケガを負った。復帰するも乗り鞍は激減。昨年5月からは栗東に移籍(高橋亮厩舎所属)、毎朝調教を手伝ってきたのがアールスターの杉山晴厩舎だった。今年のフェブラリーSは同厩舎のケイティブレイブでG1初騎乗。最下位16番人気で2着に導いた。杉山晴師も鞍上の心意気を評価するトレーナーの一人だ。

 「関東から関西にやって来て、ハングリー精神はすさまじい。アールスターが前向きになるように、調教から向き合ってコンタクトを取ってくれた。長岡君の調教のたまものですね。騎手の勝利だと思います」

 鞍上と陣営が築き上げた信頼関係で、つかみ取った大金星。次走は未定ながら、初タイトルを手にした初々しい人馬から目が離せない。

 ◆アールスター 父ロードカナロア 母ウェーブクイーン(母の父サッカーボーイ)牡5歳 栗東・杉山晴厩舎所属 馬主・KRジャパン 生産者・北海道新冠町若林牧場 戦績18戦4勝 総獲得賞金1億34万2000円。

 ◇長岡 禎仁(ながおか・よしひと)1993年(平5)9月25日生まれ、和歌山県出身の26歳。競馬サークルと無縁の家庭で育ったが、競馬場の華やかさに憧れて騎手を志す。12年に競馬学校を卒業し、アイルランド大使特別賞を受賞。美浦・小島茂厩舎所属でデビューし、フリーを経て現在は栗東・高橋亮厩舎所属。JRA通算2072戦65勝(16日現在)、重賞は8回目の騎乗で初V。

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