【エプソムC】武藤×アトミック、重賞初Vへ豪快!父子の夢乗せ直線気合注入

[ 2020年6月11日 05:30 ]

追い切りを行ったアトミックフォース(撮影・西川祐介)
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 東京日曜メイン「第37回エプソムC」の追い切りが10日、行われた。デビュー4年目の武藤雅(22)は、父・善則師(53)の管理馬アトミックフォースでJRA重賞初制覇を目指す。最終追いはWコースで迫力満点の動き。父子鷹の夢が結実するか。

 父子の夢を乗せ、アトミックフォースが疾走した。最終追いは助手騎乗でWコース単走。直線はいっぱいに追われて気合を注入。馬体をグッと伸縮させ躍動感のあるフォームで、5F66秒2~1F12秒1の好タイムをマークした。「ゴール前の反応を見たかったので仕掛けるよう指示を出した。思った以上に反応したしタイムも上々。いい動きだった」。見守った武藤師は、満足そうに愛馬を出迎えた。

 前走・新潟大賞典は久々に息子の雅を起用して2着。「外回りでいいペースで逃げたので、さすがに勝ち馬の目標にされてしまったが、競馬っぷりは良かった」と師。「オーナーも騎乗ぶりに納得してくれたので」と父子コンビの継続が決まった。昨年8月の信濃川特別も父子で臨んだが2番人気で7着に敗れた。「ふがいない騎乗だったから、頭にきて次で替えた」と師。非情の乗り替わりは愛情の裏返し。前走はそれ以来の騎乗。「着実にステップアップしているし、今回は勝ちたいという気持ちがヒシヒシと伝わってくる」。再び与えたチャンスに結果で応えた息子に、今回は全てを託す。

 雅も「夏の新潟の時より力強くなって、乗りやすくなった。成長を感じます」と目を輝かせる。父の管理馬での重賞制覇は、デビュー時に掲げた目標でもある。昨年、交流G2関東オークスをラインカリーナで制して夢の半分は達成したが、JRA重賞に父子で臨んだのは前走が初めて。「(父の管理馬には)たくさん乗せてもらって感謝している。何とか結果を出したい。馬の具合はいいので、今回はチャンスだと思っています」と意気込む。

 父の善則師は騎手時代の88年、エプソムCにニシノミラーで挑み3着惜敗の経験がある。「俺も悔しい思いをしたからね。結果を問われ、勝たなければいけない世界。雅には馬をうまくエスコートして、1着を獲ってほしいね」。勝負の厳しさと、父の愛情を一身に背負い、息子は夢のVゴールを目指す。

 【「池添父子」重賞11勝】JRA現役調教師の父&現役騎手の子のコンビで最も重賞勝ちが多いのは「池添父子」だ。父・兼雄師の管理馬で子・謙一は10年日経新春杯(メイショウベルーガ)などJRA重賞11勝。謙一の調教師別V数では池江泰寿(14勝)、鶴留明雄(12勝)に次ぐ3位で相性の良さが分かる。藤岡父子も強力で父・健一師の管理馬で佑介は同6勝、康太は同1勝。また、武豊は元調教師の父・邦彦師の管理馬では97年中山牝馬S(ショウリノメガミ)などJRA重賞8勝を挙げている。

 ◆武藤 雅(むとう・みやび)1998年(平10)1月10日生まれ、茨城県出身の22歳。17年3月に美浦・水野厩舎所属でデビュー。同年4月23日の福島6RノーブルプルートでJRA初勝利。JRA通算2129戦116勝。1メートル55、45キロ。血液型A。

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