10年凱旋門賞で2着 宝塚とパリを愛するご令嬢の思い乗せたフェスタの激走

[ 2019年10月4日 05:30 ]

 【競馬人生劇場・平松さとし】いよいよ凱旋門賞が今週末に迫った。私がこの欧州最大のレースを毎年、生観戦するようになって20年以上になる。日本馬が連対した4回も全て現地にいた。長期に及ぶ遠征の末、2着した1999年のエルコンドルパサー、2012、13年と2年連続2着に惜敗したオルフェーヴルなども思い出深いが、ある意味インパクトが強かったのが10年のナカヤマフェスタである。 凱旋門賞

 同馬はこの年の宝塚記念で初のG1勝ち。急きょ、凱旋門賞挑戦が実行された。しかし、管理する二ノ宮敬宇調教師(昨年勇退)にとっては決して急な遠征ではなかった。師はG1勝ちを記録する前から凱旋門賞の登録を済ませていた。これは彼が何もやみくもに登録していたということではない。同師は11年前のエルコンドルパサーの調教師でもあったが、凱旋門賞にエントリーしたのはその時以来だったのだ。

 また、当時ナカヤマフェスタは和泉信一氏(故人)の持ち馬だったが、元々はご令嬢が馬主だった。宝塚歌劇団とパリをこよなく愛していた彼女は不幸なことに若くして病に倒れ他界。父親が譲り受けるように同馬の馬主になった。すると何かに導かれるように宝塚記念を優勝。馬主歴60年の信一氏に初のG1制覇をもたらすと、勇躍渡仏。凱旋門賞では勝ったワークフォースから頭差2着に奮闘。日本調教馬として欧州の頂に最も近づいてみせたのだ。

 さて、今年はワークフォースと同じオーナーのエネイブルがレース史上初の3連覇を目指す。そして、この最強牝馬を筆頭とした欧州勢に3頭の日本馬、すなわちキセキ(牡5=角居)、フィエールマン(牡4=手塚)、ブラストワンピース(牡4=大竹)が挑む。果たしてナカヤマフェスタ以上にアッと言わせる結果が待っているのか。発走となる6日の日曜日が待ち遠しい。 (フリーライター)

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2019年10月4日のニュース