クロコスミア、Wプレミア所有大塚氏語る 国内G1制覇そして海外へ膨らむ夢

[ 2019年7月16日 05:30 ]

落札したハービンジャー産駒ライフフォーセールの2019にキスする大塚氏(撮影・高橋茂夫)
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 話題の人物に迫る夏の特別企画「Ask You」。第2回はクロコスミア、ワールドプレミアなどを所有し、秋にはG1初制覇の期待が懸かる新進気鋭のオーナー大塚亮一氏(44)に直撃インタビュー。高校時代にJRAの競馬学校騎手課程の試験に挑んだ異色の経歴の持ち主。一度は夢破れた競走馬の世界に、馬主としてカムバックした半生に迫った。

 ――競馬に興味を持ったきっかけは。
 「まずは競走馬が走る姿を見て格好いいと思いました。競馬とは一切関係のない家庭で育ったので、(関西ローカルの)サンテレビなどで競馬中継を見ていると、親が“何でギャンブル番組を見ているんや?”って驚いていました(笑い)」

 ――騎手になりたいと思うようになったのは。
 「最初は普通の競馬ファンだったのですが、15、16歳でオグリキャップのラストラン(90年有馬記念)を見た時に、急に騎手目線になって、ジョッキーが格好いいと思うようになりました。オグリに騎乗していた武豊さんのようになりたいと思いました」

 ――高校3年だった92年にJRAの競馬学校騎手課程を受験。
 「夢を抱いてからは1週間ぐらい、父親の寝室に押しかけて“騎手になりたい!”とお願いしました。“高校は卒業してくれ”と言われたので、高校3年まで待って、“1回だけ試験を受けて、駄目ならば大学に行く”と親と約束をして受験しました」

 ――結果は1次試験で不合格。
 「福永祐一騎手や和田竜二騎手らと一緒に試験を受けたのですが、僕は高校3年生で年上。直感で“受験するのが遅過ぎた”と思いました。万が一でも制限体重(当時は年齢にかかわらず43キロ)を超さないように受験前は1週間、固形物を一切摂取せずに臨み、当日は38キロしかありませんでした。18歳なのに。筆記試験も運動能力試験も手応えはありましたが不合格。ショックでしたが、親との約束もあるので夢は忘れて普通に生活しよう…と。その時に、“もし、競馬の世界に戻るなら馬主として戻るしかないな”と決心して、そこが全ての始まりだったと思います」

 ――30歳を過ぎた08年にJRA馬主免許を取得。
 一度夢が破れた後だったので、他の馬主さんとは違った感慨があったと思います。初めて買ったカルテブランシェという馬がデビューする日は大丈夫かな…と朝まで眠れませんでした。1番人気で負けた(3着)のでショックでした」

 ――同時期にクラブ法人での出資も始めた。
 「最初に出資したのが40口のアンライバルド(09年皐月賞優勝)でした。馬主になるという目標を達成して、最初は重賞やG1を勝つなんて考えていませんでしたが、出資馬がG1を勝ったことで“よし、個人馬主としても勝つぞ”という気持ちになりました」

 ――その後もリアルスティール、ワールドエースなど出資馬が活躍。馬を見るポイントは。
 「血統も見るし、馬体も見ますが、実際の動きを見るのが好きです。よく、他の馬主さんから“そんなに馬を見ても分からないよ”と言われますが、見ないと盲目になってしまいますから。血統だけでは選ばないし、人の意見だけで選んだりもしません。自分で動きを見て、触って、イメージして納得しないと馬は買いません」

 ――“馬を見る”ことにこだわりがある。
 「牧場でも“大塚が来たら、じっくり馬を見るから長い”と有名になっています(笑い)。日本はもちろん、アイルランド、英国、フランス、オーストラリア、米国など世界各国のセリにも行きました。馬が好きなんです。トレセンで自分の馬が運動していればすぐに分かります。毎月見ていますから。よく他の馬主さんに驚かれますが、自分の家でかわいがっている犬が他の犬と一緒にいてもすぐに分かるじゃないですか。そういう感覚です」

 ――秋に向けて、楽しみな所有馬が多い。まずはヴィクトリアマイルで3着に激走したクロコスミア。
 「デビュー時は390キロ台でしたが、薄っぺらかった馬体がしっかりして牡馬のように筋肉がついて、春前ぐらいから明らかに馬が変わってきていました。ヴィクトリアマイルでも好走しましたが、勝負服に人気がないのか、また人気薄でしたね。予定では札幌記念、府中牝馬S、エリザベス女王杯と戸崎騎手とのコンビで挑みます。楽しみです」

 ――神戸新聞杯(9月22日、阪神)から始動するワールドプレミア(牡3=友道)も注目を集めている。
 「将来を見据えて春は我慢しました。条件戦での復帰も考えましたが、凄く状態がいいので、神戸新聞杯から。すでに武豊騎手にお願いしています。菊花賞に向けていいレースを期待しています」

 ――ワールドプレミアという馬名には思い入れがある。
 「実はこのワールドプレミアは“2代目”なんです。1口馬主を始めた時にアンライバルドと一緒に所有したのが“初代”ワールドプレミアでした。ネオユニヴァースの半弟という良血馬でしたが、馬名を応募したら採用されて…。ケガで競走馬としては結果は残せませんでしたが、凄く思い入れがある名前です」

 ――名付け親となった出資馬ワールドエースにも“世界”という言葉。海外遠征にこだわりがある?
 「よく“大塚さんは凱旋門賞を勝ちたいんでしょう?”と聞かれますが、実は自分としては子供の頃に憧れた日本のG1を勝ちたいという思いが強いです。僕が興味を持ったのは国内の競馬ですから、まずは有馬記念、春の天皇賞、宝塚記念、そして日本ダービー。その次のステップとして海外にも挑戦できれば、と思っています」

 ――今後、馬主としての将来的な目標は。
 「馬主になった最初の頃は正直、“騎手になれなかった”という思いが残っていました。でも今は、競走馬に携わる人生の旅の始まりが騎手になりたいという夢だった、騎手課程への挑戦や挫折があったからこそ、充実している今があるのかな、と納得できるようになりました。今後は一つでも多くG1を勝てる馬を持って、日本の競馬を盛り上げていきたいです」

 ◆大塚 亮一(おおつか・りょういち)1974年(昭49)10月23日生まれ、大阪府出身の44歳。大塚総合税理士法人代表に加え、大塚総合経営グループ代表、(株)大塚総医研代表取締役社長、大塚法務行政書士事務所所長なども務めている。京都馬主協会常務理事、日本馬主協会連合会常任監事。今年のセレクトセールでは、2億2000万円(税抜き)で落札した「ライフフォーセールの2019」(牡、父ハービンジャー)を含め、3頭の良血馬を競り落とした。今でも乗馬は続けている。

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