【オークス】クロノ100点!バランス良く姉と違う魅力

[ 2019年5月14日 05:30 ]

バランスの良い馬体をしているクロノジェネシス 
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 今週は妹の番だ。姉に続くヒロインの座が見えた。鈴木康弘元調教師(75)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。第80回オークス(19日、東京)ではクロノジェネシスに唯一の満点をつけた。達眼が捉えたのはヴィクトリアマイルを制したノームコアの妹らしい成長力と、姉よりも機能性に優れた中長距離体形。有力馬の立ち姿を著名なきょうだいアスリートになぞらえながら解説する。

 兄弟は他人の始まりといいます。姉は菅笠(すげがさ)、妹は日傘とのことわざもあります。血を分けた兄弟姉妹でも境遇によって他人のような違いが生じるという意味。馬にもそのまま当てはまります。父親(種牡馬)が異なる半兄弟、半姉妹ならなおさらです。農作業時にかぶる菅の葉で編んだ菅笠と、貴人の外出時に供の者が後ろからさしかける日傘ぐらいの隔たりが生じる。

 ヴィクトリアマイルを制した半姉ノームコアとオークスに挑む半妹クロノジェネシス。どちらも芦毛ですが、体重(姉460キロ前後、妹430キロ前後)が違えば、体形はもっと異なります。ハービンジャー産駒の姉は後肢(トモ)や胸前のボリュームが際立つマイラー型。バゴ産駒の妹は姉ほどのボリュームがない半面、それらの部位が無駄なく機能的にリンクしています。首抜けがいい、少しスリムな中長距離型の体形。アスリートになぞらえれば、フィギュアスケートの浅田姉妹でしょうか。ふくよかな姉の舞と引き締まった妹の真央さん。どちらも魅力的ですが、美しさの種類が違う。ノームコアが造形美なら、クロノジェネシスは機能美。東京2400メートルはその機能性を生かすのにふさわしい舞台です。

 小さくても非常に弾力に富んだ筋肉をバランス良く身につけているのが妹の特長。疲労がたまりづらい柔らかそうな筋肉です。目を見張るほどの成長力もある。桜花賞時には「トモの筋肉量が足りない」と注文をつけましたが、診断記事を読める馬なのか、1カ月半でトモが丸みを帯びてきました。リクエスト通りに筋肉量を増やしてきたのです。

 気性の成長もうかがえます。過去の2回のG1時よりも頭を起こした理想的な立ち方。顔つきもりりしくなった。目、耳、鼻を前方の一点に集中しながら力みが全くない。毛ヅヤはあり得ないほど良くなった。芦毛でここまで被毛を輝かせる馬などまずいない。過去最高の出来栄えです。浅田真央さんが女子SPで世界歴代最高の78・66点をマークした14年世界選手権のように…。

 姉ノームコアは4歳春に体のボリュームを増やして女子マイル界の頂点に駆け上がりました。姉妹の共通点を探せば、瞠(どう)目すべき成長力。一門に名牝フサイチエアデールなどがいる牝系血統のなせるわざか。それとも母の父クロフネの成長力か。芦毛の黒船の影響を受ける芦毛の姉妹船。舞の次は真央さんが府中のリンクで頂点に立つ番です。(NHK解説者)

 ◆鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の75歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~04年に日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。

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