【フェブラリーS】菜七子、初G1へキッキングと初合体!

[ 2019年2月9日 05:30 ]

藤田菜七子が騎乗し、Bコースでキャンター調整されるコパノキッキング
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 “世紀”の対面だ。藤田菜七子(21)が8日、JRA女性騎手史上初のG1騎乗となる「フェブラリーS」(17日、東京)でコンビを組むコパノキッキング(セン4=村山)に初騎乗した。滋賀・栗東トレーニングセンターで約20分のコンタクト。相棒の乗り心地を確かめたことで、歴史的参戦に向けて闘争心を高めた。JRA通算50勝に王手をかけている同騎手は、9日に小倉で7鞍に騎乗する。

 運命の赤い糸につながれた人馬。コパノキッキングの馬上から下りた菜七子の表情は引き締まっていた。

 「最初は(G1初騎乗が)信じられないような気持ちだった。今は“やってやるぞ!!”という気持ちが凄く強い」

 午前8時45分。普段は静かな週末の栗東トレセンが熱気に包まれた。NHKを含むテレビカメラ3台、報道陣40人が大挙。その中、菜七子は対面を待ち焦がれた相棒にまたがった。普通キャンターでBコース(ダート1600メートル)を1周。コースの真ん中を悠々と駆け抜けた。

 「凄くいい馬。反撞(はんどう=鞍を通じて騎手に伝わる背骨の上下動)がなくて乗りやすかった」

 確認したいことがあった。レース直前はテンションが上がり、馬場入りが難しい馬と管理する村山師から聞いた。ならば、普段はどうなのか。ゆっくり丁寧に、時に馬をなだめるように動きを確認した菜七子は頬を緩めた。「競馬の日(17日)にどれくらいテンションが上がるか分からないけど、今日乗った良いイメージで乗りたい」。滞在中の小倉から約600キロ離れた栗東へ足を運んだ21歳は、歴史的大一番で人馬一体となる姿をはっきりと頭に描いた。

 村山師はスタンドから双眼鏡で見つめながら「ああ、うまいな。スムーズに乗っていたし、大丈夫そうだね」とつぶやいた。13日に予定される最終追い切りには通常通りに厩舎スタッフが乗る。キャンター調整での初騎乗となった意図について、同師は「(追い切りに)ジョッキーが乗ると時計が出過ぎてオーバーワークになるので、いつもと違うことをやらない方がいいと判断した」と説明した。

 「(G1は)選ばれた馬と選ばれた騎手しか乗れない。注目されているのは身をもって感じている。その分、もっと頑張らなきゃいけないと思うし、しっかり結果を残せる競馬をしたい」

 キッキングと本番までの最初で最後のコンタクトを終えた菜七子。濃密な20分間で、以心伝心を経てモチベーションは最高潮に達した。

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