【いわき平・オールスター】脇本 14度目挑戦で初G1、堂々逃げ切った

[ 2018年8月20日 05:30 ]

第61回オールスター競輪でG1初優勝を果たし、喜ぶ脇本雄太。左は2位の浅井康太、右は3位の渡辺一成
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 G1に最も近かった男がついに獲った。「第61回オールスター競輪」の決勝戦が19日、福島・いわき平競輪場で行われ、脇本雄太(29=福井・94期)が逃げ切ってG1初優勝。賞金4400万円と「グランプリ2018」(12月30日=静岡競輪場)の出場権利を獲得した。脇本のグランプリ出場は初めて。2着は浅井康太、3着は渡辺一成だった。

 ついに、表彰台の真ん中に立った。14度目のG1決勝挑戦。脇本は「今回こそ僕が優勝するんだという気持ちだった」と言った。5月の平塚ダービーが3着。6月の岸和田高松宮記念杯が2着。強い気持ちで今大会に臨み、決勝戦を迎えた。

 3番手の竹内―浅井―金子の中部勢が打鐘前から先行態勢に入る。6番手の脇本が巻き返した。「自分の踏みたいタイミングで踏もう」。脇本を警戒して浅井がけん制する。「打鐘すぎの4コーナーはきつかった」と振り返ったが、最終ホームでさらに加速すると竹内を一気に捉えて先頭に立った。

 最終バックすぎに後続を引き離した。ただ、後ろを確認する余裕はなかった。「誰が来るか分からないし、とにかく踏み切った」。2着以降はちぎれた。真っ先にゴール線を駆け抜けた。

 悲願のG1勝利。それは「先行でG1を獲りたい」という“先行の美学”を持つ脇本らしい勝ち方だった。「先行を期待されていると思うし今後も自分のレーススタイルを崩さずに頑張る」。場内から拍手が起きた。

 今年5月、元モデルの麻里奈さんと結婚。メンタルに弱さを抱えていた脇本が勝負強さを身に付けたのは、夫人のおかげと周囲は語る。再来年に迫った東京五輪もモチベーションとなっている。「東京五輪のケイリンで金メダルを獲る」。人生の大目標に向け、ナショナルチームで汗を流し続ける。

 G1初優勝を喜ぶ時間は短い。21日にはアジア大会出場のためインドネシアに出発する。昨年12月のW杯男子ケイリンで金メダルを獲り、日本に脇本ありと世界に知らしめたが「まずはここで結果を出す」。国内の競輪は寛仁親王牌(10月5〜8日、前橋)に出場できるかどうかというところ。ただ、これは間違いない。脇本のスピードが世界も、日本の競輪もさらに魅了していく。

 ▼決勝VTR 渡辺一―中村―竹内―浅井―金子―脇本―古性―村上義―山崎賢で周回。残り2周のホームすぎに竹内―浅井―金子が上昇。脇本―古性―村上義―山崎賢も車を上げていく。打鐘で竹内―浅井―金子で先制するが最終ホームで脇本が巻き返す。脇本は竹内を叩くが、古性―村上は浅井のけん制で失速。脇本が後続を大きく離して1着ゴール。竹内の番手から出た浅井が渡辺一の強襲を抑えて2着。

 ◆脇本 雄太(わきもと・ゆうた)1989年(平元)3月21日生まれ、福井市出身の29歳。県立科学技術高卒。08年7月プロデビュー。通算713戦251勝。通算取得賞金は4億575万円。主な優勝は第61回オールスター競輪(18年)。16年リオ五輪代表。特技はスケート。趣味はゲーム全般。1メートル80、82キロ。血液型A。

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