的場、アクロバット勝利!61歳、落馬寸前ミラクルゴール

[ 2018年7月18日 05:30 ]

浦和6Rでゴール直後落馬のアクシデントがありながらも7145勝目を挙げた的場
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 やっぱり千両役者だね!佐々木竹見元騎手が持つ地方通算7151勝到達が間近と迫っている的場文男(61=大井)が17日、浦和競馬で1鞍に騎乗。見事に勝って地方通算7145勝目を挙げたが、馬がゴール前で物見してフットワークを乱し、的場は落馬。しかし、的場の足が着地したのはゴール後と判定され“セーフ”。的場自身にケガはなし。アクロバティックな白星となった。

 真っ赤な勝負服が馬の前方へと投げ出される。観衆は息をのんだ。

 気温36度。しゃく熱の中で行われた浦和6Rのゴール前。的場騎乗の1番人気タマモサーティーン(牝4=浦和・小久保)が直線、後続を突き放した。的場は後ろを振り返る余裕。だがゴール寸前、馬が物見(何かを見て驚くこと)して右に跳ねた。的場はバランスを崩し、馬の前方左側に投げ出され、尻と両足から地面に着く形で落馬した。2着馬には6馬身差つけたが馬の鼻端がゴールを通過する前に的場の足が着いていれば競走中止となる。

 幸い、後続馬10頭との接触もなく、的場はすぐに立ち上がった。「びっくりしたあ〜。ゴールしてからだから(1着は)大丈夫だよ」。審議。数分後、落馬は入線後と判断された。レジェンドのジャッジはさすがだった。1着が確定し7145勝目。地方単独最多7152勝へのマジックを「7」とした。

 まさにミラクルゴール。的場の解説もトーンが上がる。「セーフ、セーフ!馬が物見をしたんだよ。他馬が近くにいれば物見しないけど、ちぎっていたからね。ケガがなくて本当に良かった。周りにもファンにも迷惑を掛けずに済んだよ。大きな1勝?そうだね」。6月15日に川崎で落馬し、1カ月弱の間、戦線離脱を余儀なくされた的場。冷や汗ものの1勝だった。

 同じ6Rには藤田菜七子も騎乗していた。サルガッソで5着。それよりゴール付近で真っ赤な勝負服がコースに転がっていたのだから、過去にないくらいにビックリしただろう。報道陣に囲まれ「危なかった…」とコメントするのが精いっぱいだった。

 関係者によれば、今開催からゴール板付近に新たに花壇を置いたという。これが物見の原因になったといえそうだが真相は馬に聞かなければ分からない。とにもかくにも、ケガもせずに1勝を上積みした的場。ツイていることは間違いなく、ここから新記録へのスパートをかけていく。

 ▼小久保智師(タマモサーティーンを管理) VTRを見ると、馬は完全にゴール板のところにある花壇を見ている。前開催までなかった物が突然現れたら抜け出して1頭になった馬は見てしまいますよ。とにかく的場さんにケガがなかったのが何より。

 ≪武豊は神業2着≫90年10月7日、京都3R新馬戦。直線で2番手にいた武豊騎乗のミスティシュールがゴール前約20メートル地点で右前脚を骨折。ゴール前約10メートルから腹を芝にこすって滑走した。武豊はバランスを崩しながらも手綱を握って踏ん張り、そのまま決勝ラインに到達。1着コガネパワーから2馬身半差の2着となった。武豊にケガはなく、メインの京都大賞典をスーパークリークで勝つなど超人ぶりを見せつけた。

 【地方競馬実施規則例】

 第五十六条の二 …出走した馬につき次の各号のいずれかに該当する事由があると認めたときは、当該馬の騎手は落馬したものとする。

 一 競走中…騎乗する騎手の身体の一部が地面に触れたとき。

 二 当該馬の鼻端が決勝線に到達したときに…騎手の身体が当該馬および当該馬の装具のいずれからも離れていたとき。

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