【函館2歳S】出会いと運命に導かれた林師×伊藤×イチゴ

[ 2018年7月18日 05:30 ]

重賞初挑戦のイチゴミルフィーユ
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 今年3月に開業した美浦の林徹師(39)は東大医学部卒との異色の経歴を持つ。今月1日に初勝利を挙げると、7、8日も1勝ずつ積み重ね、トレーナー業も軌道に乗ってきた。22日の「第50回函館2歳S」では“人生の師”でもある東大の先輩・保坂和孝氏の所有馬イチゴミルフィーユ(牝、父ヨハネスブルグ)で、自身初の重賞に挑む。

 林師はウイニングチケットが勝利した93年日本ダービーで競馬に興味を持ち、中学時代は友人と徹夜で競走馬育成ゲームに興じた。大学で馬術部に入ってからは本格的に競馬の世界を意識し始めた。高校までは野球部で三塁手をしていたが、「六大学にいるから勝てないけど、東大の野球部はなにげに強いんですよ。球拾いで終わりかなと思ったので、(馬術部での)馬乗りは楽しかったですね」と振り返る。野球部出身者らしく、調教師の立場を大学野球の監督に例える。「小中高とその選手を教えた人がいるわけで、その人たちの努力を台無しにもしかねない。馬も産まれてからいろいろな方の苦労や努力があって入厩してくる。馬産地に恥ずかしくない仕事をしなければいけないと思っています」と表情を引き締めた。

 調教師になる決意を固めたのは、6年前知人から紹介された保坂和孝オーナーの存在だ。開成高→東大の先輩であった保坂氏から「調教師目指さないの?」のひと声が背中を押してくれた。林師は「この仕事に学歴は関係ありませんから」と「東大卒」を強調されることは本意ではないとしつつも「そういう流れの中で素敵な方と巡り合えました」とも話す。技術調教師時代に学んだ矢作師も開成高の先輩だ。「中高の友達との縁がつながっているのも大事。仕事のヒントは他のところにも転がっていると思います」。学習塾を経営している高校の同級生に合格実績を気にするかと尋ねると「気にしない。授業内容で評価してもらう」との答えが返ってきたという。「結果を出すことももちろん大事ですが、そのプロセスをオーナーやファンに納得してもらえるような厩舎にしたい」と目指す厩舎像を口にする。

 16年10月、まだ助手だった林師の結婚披露宴で保坂オーナーは自身の勝負服をプレゼントした。「調教師試験に合格してこの勝負服の馬を走らせてくれ」。その勝負服を“モデル役”として着たのが伊藤だった。その縁で鞍上に伊藤が指名されたイチゴミルフィーユで新馬戦を快勝(開業2勝目)し、今回の函館2歳Sへ駒を進めた。師は「オーナーの思いをヒシヒシと感じましたし、(新馬は)どうしても勝ちたいレースでした」と粋な計らいに感謝し22日の初タイトルに挑む。

 ◆林 徹(はやし・とおる)1979年(昭54)4月4日生まれ、兵庫県出身の39歳。中学は横綱・稀勢の里と同じ茨城県龍ケ崎市立長山中。開成高→東大医学部看護学科卒。本間、加藤和、田子、矢野厩舎を経て今年3月に開業。7月1日函館9Rのクレッシェンドラヴで初勝利。JRA通算58戦3勝。

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