【阪急杯】ダイアナヘイロー 福島師有終の涙、感動逃げ切りV

[ 2018年2月26日 05:30 ]

ダイアナヘイローで阪急杯を制し、表彰後記念撮影を行う福島調教師(左)と武豊
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 春を待つ仁川のターフで「有終の美」が待っていた――。高松宮記念(3月25日、中京)の前哨戦「第62回阪急杯」(1着に優先出走権)は、2月末で引退する福島信晴師(70)が管理する7番人気ダイアナヘイローが感動の逃げ切りV。17年北九州記念以来の重賞2勝目をマーク。福島師は阪神8Rも勝ち、土曜の1勝と合わせてラストウイークに3勝。自らの引退に花を添えた。

 最後の最後に競馬の神様が舞い降りた。途中から先手を奪ったダイアナヘイローが先頭のまま直線へ。鞍上・武豊は右ステッキを入れながら願った。「何とか勝ってくれ」。ゴール直前。外から人気のモズアスコット、レッドファルクスが襲いかかる。それでも、ダイアナは止まらなかった。首差振り切って歓喜のV。

 馬上で右手を上げながら検量室前に戻ってきた武豊も「奇跡、奇跡」と信じられない表情。「さすがに最後はいっぱいいっぱいになったが、競馬の神様にお願いしました。競馬にはこういうこともある。お世話になった先生だし携われて幸せ」と勝利をかみ締めた。

 管理する福島師は今月いっぱいで定年引退。この日が最後のレースだった。奇跡の重賞勝利を見届け、涙が止まらない。「最後だけに、力が入ったね。豊君は馬の引退レースでもよく勝っているし、僕の引退にも勝ってくれたね。豊君が“持ってる”んじゃないかな」と名手を称えた。

 ジョッキーから転身後は「平成」の競馬界を支えてきたトレーナー。牝馬として異例の51戦を走り“鉄の女”と呼ばれたイクノディクタス(安田記念&宝塚記念2着)、JRAの最高齢出走記録の15歳まで走り続けたミスタートウジンを管理。G1タイトルに手は届かなかったが、記憶に残る数々の馬を育て上げた。

 指揮官は「鳴かず飛ばずで、30年やってきたな」と謙遜しながらも「最後に重賞まで獲らせてもらえた」と感無量。この勝利で高松宮記念の優先出走権を手にしたダイアナヘイローは大根田厩舎に転厩する。「夏馬とか、もう終わったんじゃないかとも言われたが、勝って送り出せる。大根田君も張り合いになるだろう」と後輩に託す。「馬はまだ若いし、もっと活躍できる。G2、G1でもいい競馬をしてほしいね」。最後に指揮官は、いつもと変わらない優しい表情でエールを送った。

 ◆ダイアナヘイロー 父キングヘイロー 母ヤマカツセイレーン(母の父グラスワンダー)牝5歳 栗東・福島厩舎所属 馬主・駒秀 生産者・北海道浦河町の大西ファーム 戦績19戦7勝 総獲得賞金1億7798万5000円。

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