【高松・全日本選抜】村上博が復活V「信じられない気持ち」

[ 2014年2月13日 05:30 ]

村上博は優勝カップを手に笑顔

 村上博幸が2度目のG1制覇――。今年最初のG1「第29回全日本選抜競輪」の決勝戦が12日、香川・高松競輪場で行われた。レースは最終4角で3選手が落車するアクシデントがあり、村上博幸(34=京都・86期)が直線抜け出して優勝。賞金2690万円と「グランプリ2014」(岸和田競輪場)の出場権利を獲得した。村上のG1優勝(4日制以上)は10年3月の松戸ダービー以来、4年ぶり2回目。

 苦難を乗り越えた先に歓喜の瞬間が待っていた。最終4角で神山と接触しながらも落車に巻き込まれなかった村上博。直線力強く抜け出し、4年ぶりのG1制覇。兄・義弘ら近畿勢の胴上げで3度宙を舞う。飛び切りの笑顔がはじけた。「信じられない気持ち。近畿3人の連係で力を出し切れた。新田が番手で粘った時に3番手を確保できたのが大きかった。あとは松岡さんの車の出と、自分のコースを取られないように。冷静に走れたと思う」

 10年にグランプリを制して賞金王に輝いた。だが、落車が続いて栄光の日々から暗転。さらに2年前の3月、練習中にアクシデント。選手生活が危ぶまれる大ケガ(足首のひ骨筋腱脱臼)を負った。予想より早く復帰できたが、その後、持ち前の鋭い切れは鳴りを潜めた。

 「ケガ、さらに大ギア化…。自分にとって、決していい方向ではなかった。もうタイトルは厳しいかなとも思った。ただ、苦しい中で、いろいろな人に巡り会え、刺激を受けた。諦めることをやめ、精神的に強くなれた。それが今回の結果につながったと思う」

 今回の優勝でグランプリ出場一番乗り。今年は近畿地区の岸和田で初めて開催されるだけに喜びはひとしおだ。「今でも、強い自力選手とは力の差を感じるし、課題だらけ。それでも強くなることを考え、さらに成長した姿でグランプリへと戻りたい。近畿を引っ張って、また兄弟で乗りたい気持ちが強い」

 もともと、追走技術は天下一品。そこに、どん底からはい上がったことで精神的な強さも身につけた。まだまだやれる。村上博は、さらに切れ味を研ぎ澄ませ、年末まで一気に突っ走る。

 ◆村上 博幸(むらかみ・ひろゆき)1979年(昭54)4月15日、京都府出身の34歳。私立花園高卒。01年8月プロデビュー。通算971戦253勝。通算取得賞金は6億3479万円。主な優勝は第63回日本選手権(10年)、グランプリ2010、第29回全日本選抜(14年)。1メートル67、78キロ。血液型O。

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