【フェアリーS】ベニザクラ剛脚爆発!!桜へ弾み

[ 2012年1月10日 06:00 ]

<フェアリーS>先行する(左から)ダイワミストレス、マイネエポナを外から一気に差し切ったトーセンベニザクラ(8)

 桜花賞を見据える3歳牝馬が集結した中山メーン「第28回フェアリーS」は3番人気トーセンベニザクラが直線で馬群を縫って伸び、デビュー8戦目で待望の重賞初V。クラシック1冠目の桜花賞(4月8日、阪神)に弾みをつける貴重な白星となった。1番人気オメガハートランドは4着、2番人気パストフォリアは出遅れが響いて最下位と人気上位馬が明暗を分けた。

【レース結果】

 桜の夢をもう一度。再び手綱が戻ってきたトーセンベニザクラの底力を津村は信じ抜いた。前半5F60秒3のスロー。密集の真ん中で折り合った愛馬の前には4コーナーを回っても幾重もの壁ができていた。だが慌てなかった。残り1F、馬1頭分のスペースが空くや必死に追う。次の瞬間、自慢の剛脚が爆発。馬群の中から首がグイッと出たところがゴールだった。

 赤松賞以来、2度目の騎乗となった津村は10年エルムS(クリールパッション)以来の重賞5勝目。5日の26歳誕生日を4日遅れで自ら祝った津村は「切れ味が最大の武器なので、馬を信じて乗った。ペースは遅かったけど道中の手応えは抜群。だから、何とか前が開いてくれと。抜け出した時は速かった」と言葉を弾ませた。

 柴崎師は1200メートル時代の06年アポロティアラに続き、フェアリーS2度目の制覇。栗東滞在で万全を期した前走・阪神JFはまさかの10着。師は鬼と化した。「前走は最後1Fで伸びを欠いて…。体に余裕があったので調教を緩めず結構やった。体が減っているかと思ったら増減なし。馬も力をつけているんでしょう。津村君もうまく乗ってくれた。勝つときはこんなものかな」。指揮官は正月返上のハードトレに応えた愛馬を称えた。

 重賞Vで貴重な賞金の上積みに成功。桜花賞出走権は確定だ。2戦2勝と相思相愛の津村は「走りは赤松賞の時と変わっていなかったけど、他馬を怖がる面も見せなかった。精神的に成長しているし、まだ伸びしろがある。僕自身も重賞でいいスタートが切れた。ベニザクラと頑張りたい」と悲願のG1制覇を見据えた。

 今後は千葉県香取市のエスティホースパークで約2週間放牧し、本番に備える。「桜花賞?確かに楽しみだけど今年は同世代の牝馬が強過ぎてね」。柴崎師がこぼす通り、2歳女王ジョワドヴィーヴル、シンザン記念覇者ジェンティルドンナと強力ライバルが待つ。ただ、この馬もキャリア8戦の叩き上げでつかんだ財産がある。3カ月後の決戦、春の仁川はベニザクラの満開舞台を整えているだろうか。

 ◆トーセンベニザクラ 父ダイワメジャー 母トーセンブリリアン(母の父ホワイトマズル)牝3歳 美浦・柴崎厩舎所属 馬主・島川隆哉氏 生産者・北海道沙流郡日高町エスティファーム 戦績8戦3勝 獲得賞金5403万6000円。

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2012年1月10日のニュース