横典 頚髄損傷と頭蓋骨骨折の重傷…年内絶望

[ 2010年9月28日 06:00 ]

26日の中山3Rで落馬負傷し、コースに横たわる横山典弘騎手

 ノリ、重傷だった。26日の中山競馬3Rで落馬負傷し、千葉県船橋市内の病院に搬送されたトップジョッキー・横山典弘騎手(42=フリー)は27日、中心性頚髄(けいずい)損傷と頭蓋骨(ずがいこつ)骨折と診断された(全治不明)。JRAが同日発表した。命に別条はないものの、騎手生命を脅かしかねない部位の重傷。絶大な支持を集める敏腕の長期離脱はスプリンターズS(10月3日、中山)で開幕する秋のG1戦線にも影響を及ぼしそうだ。

 今年113勝で全国騎手リーディング首位を独走する横山典が重傷を負っていた。26日の中山競馬3Rでビーライトに騎乗しスタート直後に落馬、馬場に投げ出され後続の馬に蹴られた。搬送先の病院で一夜明けた27日、検査の結果、正式な診断が下った。

 頭蓋骨は骨折しており、脊髄(せきずい)の後頭部から首にあたる頚髄が損傷していた。現時点で手術の予定はないが全治は未定。JRA報道室は「昨日(26日)と様子は変わらず、意識はしっかりしていて日常の会話もできている。(頭蓋骨の)骨折はひびが入った程度で軽微とのこと。ただ、頚髄損傷については回復を待たなければならないとの報告を受けている」と説明。幸い命に別条はないものの現在も安静に努めており、症状を考慮すると今週のG1・スプリンターズSを含め年内復帰は厳しい状況となった。

 特に頚髄損傷はスポーツ選手にとっては致命傷になりかねない。大久保クリニックの三宅健治院長は「損傷した場所によっても状況は異なるが、首から下の神経に麻痺(まひ)が残るケースが多い。運動機能にも影響を及ぼします」という。

 武豊に次ぐJRA史上2位の通算2154勝を誇る東の名手。今年はG1で2勝を含めてすでに重賞11勝。自己最多の年間12勝(98年と08年)を上回るペースで大一番での強さをアピールしていた。今秋のG1でも来月17日の秋華賞はオークス馬サンテミリオン、31日の天皇賞・秋で昨年のJRA賞最優秀3歳牝馬ブエナビスタなど多くの有力馬を抱え、秋競馬を盛り上げてくれるはずだった。

 横山典の長期休養は06年1月5日の中山金杯での落馬で左鎖骨を骨折し、51日間離脱したのが最後。当時も全治3カ月の診断より早く、驚異的な回復でターフに戻ってきた。多くのファン、そして多くのお手馬が、誰よりも勝負強い「ノリ」の一日も早い回復を祈っている。

 ◆中心性頚髄損傷 後頭部から骨盤にかけての背骨の中を通る神経管を脊髄といい、頚髄は脊髄の後頭部から首にかけての部分。交通事後や高所からの落下で頚部の骨折がなくても、脊髄を損傷することがあり、その場合は頚髄の中心が損傷している状態になりやすい。頚髄の中心部分には上半身にいく神経が集まっており、症状は手のしびれなど。運動機能が残る軽傷から、麻痺が残る重傷まで、損傷の程度で症状は異なる。

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2010年9月28日のニュース