プラス体重が成長の証 ゲシュタルトの侮れない実力

[ 2010年4月21日 06:00 ]

 私が注目していたゲシュタルトは好位からレースを進めて見せ場たっぷりの7着。レース後に馬房を訪ねると、調教助手の吉田さんが「やっぱり1勝馬だね」と苦笑いしながら対応して下さいました。

 吉田「(鞍上の)勝浦騎手もいけた!と思ったらしいんだけど、最後のもうひと踏ん張りが足りなかったのは、やっぱり経験の差だと思う。今回みたいに一瞬でかわされる競馬は、この子にとって初めて。だから、また何か学んでくれてるといいなぁ」

 -それでも前でかなり粘りましたね。

 吉田「前へ行く馬がいなかったからね。もっと目標となる馬がいてくれてたら、もうちょっと違ったんじゃないかな。もともと物見が激しい子でもあるから」

 ―普段もかなり物見が激しいんですか?

 吉田「2歳の時は音・物・馬が苦手で外に出ると怖くてでソワソワしていたんだよ。今は大分成長してくれたし、物見するところも少しは良くなっているけどね」

 ―(ニンジンを食べてるゲシュタルトを見て)大人しいですね。

 吉田「馬房だとすっかりマイペースだし人懐っこくて大人しいよ。だけど突然何かの拍子でキレると怖い」

 ―突然キレるんですか!?

 吉田「うん。今回の最終追い切りもラチに突っ込むところだった」

 ―危ないですね!本番は、体重も減らずいい感じの状態に仕上がってましたね。

 吉田「今回は一番体重が増えたんだよ!500キロ前後がベストかな。輸送も大丈夫!」

 ―前走まではレースを使う度に体重が減っていましたもんね。スプリングS(2着)ではデビュー以来最軽量となる496キロでした。

 吉田「うん。だけど競馬を使う度にレースが上手になっているし、色々学んでくれてるよ。体重が増えたっていうことは、身になってきている感じかな」

 ―もともと体があまり強くないんですか?

 吉田「2歳の時は弱かった。去年の秋、一度入厩したけど弱くてね。とりあえず、ゲート試験だけ通して放牧に出したんだ」

 ―そんなエピソードがあったんですね。皐月賞を見ていると、とてもそう思えませんでしたよ。

 吉田「前走2着になったのは、たまたまだと思われてただろうから、このメンバーでこの結果なら、前走はフロックじゃなく力があるんだとわかってもらえたと思う」

 ―最後にゲシュタルトファンの方へ何か一言をいただけますか?

 吉田「負けちゃったけど、これからも多少なりとも応援していてほしいです」

 私が見る限りスタミナでは出走馬の中でも上位。吉田さんも「心肺機能はかなりのもの」とうなずきます。となると、距離が延びるダービーでは期待が膨らみます。「賞金をなんとか稼いでダービーに出たい。東京の方がもっと力を発揮できると思う」。吉田さんの言葉に力がこもるのは、皐月賞のレースを見れば当然のこと。スプリングSのフロック視を吹き飛ばしたゲシュタルト。1走1走、走るごとに本当に力をつけています。今回の厳しい経験はきっと次走に生きる。あと1カ月後に控えるダービーに上がってきたときには、さらに進化した姿をみなさんは見ることができるでしょう。本当の勝負はここからです。(馬バカのウマドル・桜井聖良)

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2010年4月21日のニュース