泣く子も黙る「中央のウチパク」誕生

[ 2008年2月15日 06:00 ]

JRAの騎手免許試験に合格した内田博幸は会見でガッツポーズ

 また1人、地方競馬のスーパージョッキーが中央競馬入りを果たした。南関東、大井所属の内田博幸騎手(37)が14日、JRA騎手試験に合格した。地方競馬出身者では昨年の安藤光彰騎手に続いて7人目となるが、大井からは初めて。地方で通算3145勝を積み上げた名手の騎乗が、これからは毎週中央で見られることになる。

 勝負の世界に生きる男を、つかの間の喜びが包んだ。合格発表の午前10時、内田博幸は園田競馬で騎乗するため飛行機で移動中。兵庫・伊丹空港に到着後、すぐに妻・文子さんから連絡が入った。「妻からは“良かったね。頑張ったかいがあったね”と。肩の荷が下りましたね」
 “ウチパク”の愛称はファンの間にも定着している。一昨年、年間524勝という前人未到の大記録を達成。そしてその名を全国にとどろかせたのが昨年5月のNHKマイルC。ブービー人気のピンクカメオに騎乗し、大胆な手綱さばきで優勝に導いた。地方で確固たる地位を築いた後、よりレベルの高い中央を目指すのは自然な流れだった。
 移籍を決意したのは昨年9月5日。「春くらいから行きたいという気持ちが強くなり、地方通算3000勝を挙げた瞬間に決めました。合格できたのは南関東の関係者にバックアップしてもらったおかげ」。夢はダービーを勝つこと。そして中央でもトップに立つこと。「どこまでできるか夢を追い続けたい」
 これまでの実績からも周囲の期待は大きい。「結果を出さないと騎乗依頼が来なくなる。そういった怖さはありますが、打ち勝っていく自信はあります」ときっぱり言い切った。今後は美浦トレセンの嶋田潤厩舎に所属して騎乗する。
 中央競馬のウチパクとして3月1日にデビュー、移籍後初のG1高松宮記念(3月30日、中京)では有力馬サンアディユへの騎乗が予定されている。新たな剛腕の加入で、これまで以上に騎手リーディング争いは、し烈を極めそうだ。

 ◆内田 博幸(うちだ・ひろゆき)1970年(昭45)7月26日、福岡県生まれの37歳。89年4月6日、大井競馬でデビュー、5月7日に初勝利。04年に初の南関東リーディングジョッキーに。06年には地方、中央合計524勝で年間最多勝記録を更新(佐々木竹見騎手が66年に地方だけで505勝)。07年9月、史上16人目の公営通算3000勝に到達。07年まで4年連続で全国勝ち鞍1位およびNARグランプリ最優秀騎手賞。家族は文子(あやこ)夫人。血液型B。

 ▼騎手免許試験 通常は1、2次と2回の試験を突破しなければならないが、地方競馬の騎手免許取得者で過去5年間にJRAで年間20勝以上を2回マークしている騎手は1次が免除される。2次は競馬関係の法規に関する筆記試験、競走騎乗全般に関する口頭試験、身体検査、人物考査など。

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