テレ朝Podcastインタビュー【上】 国内テレビ局初の試み「過激コンテンツの先に信頼は生まれない」

[ 2025年12月4日 07:00 ]

「テレ朝Podcast」で始まった2番組
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 テレビ朝日が10月にスタートさせた、ビデオポッドキャストブランド「テレ朝Podcast」が話題となっている。ポッドキャストの収録風景を撮影した映像付きの音声コンテンツを配信する“ビデオ特化のポッドキャストブランド”を立ち上げたのは日本のテレビ局として初の試みだという。

 第1弾として始まったのは、永野と芝大輔(モグライダー)による「永野とモグライダー芝のぐるり遠回り」(水曜前6・00)、井口浩之(ウエストランド)と吉住による「ウエストランド井口と吉住の孤独アジト」(木曜前6・00)の2番組。ともに出演者の他では見られない新しい一面が印象的で「ずっと聴いてられる」との声が相次いでいる。

 どのような狙いがあるのか、既存の音声ポッドキャストや映像コンテンツとの違いはどこにあるのか――。企画した岩﨑海十氏に聞いてみた。

 もともとディレクターをしながら、報道番組「ABEMA Prime」のYouTubeチャンネル立ち上げや、テレ朝のYouTubeチャンネル「動画、はじめてみました」の企画運用など、ネットコンテンツの制作に注力してきた岩﨑氏。7月の異動で、ポッドキャスト事業を担当することに。市場調査を進めると、米国では映像付きのビデオポッドキャストが、大統領選に影響を与えるほどの一大トレンドだと分かった。さらに、日本ではポッドキャストユーザーが最も使うプラットフォームはYouTubeだと知り、今後音声だけで事業規模を拡大する難しさも感じた。

 そこで即座にビデオポッドキャスト制作に乗り出した。ビデオの魅力は「音声メディアが持つクローズド感に加えて、画があることで、誰がどんな表情で話しているかが、やっぱり1発で伝えられる。リモート会議でも、ポッドキャストでも、話している人の顔を見られた方が、人は興味を持つし、安心できると思う」とその強みを再認識。一方、映像に頼りすぎないことも意識した。映像を見ていなくても楽しめる作りを心がけており、テレビコンテンツとも一線を画す。「ビデオポッドキャストは、音声ポッドキャストに比べて選択肢が多い。画で見ても楽しいし、音だけで聴いても楽しい。誰のどんな日常にでもフィットできる」

 岩﨑氏が特に大事にしている言葉がある。ブランドコンセプトに記されている「Heart Full(ハートフル)」「心を満たす」だ。

 地上波では深夜の人気バラエティー「耳の穴かっぽじって聞け!」を立ち上げて演出を務めてきた。番組制作に身を置く立場として、コンテンツが乱立する現状について「人の興味を引くために、けんかしたり、下品なトークをしたり、どんどん過激になっている。同時に、そうしないと勝ち残っていけない感覚もある」と感じており「このままでは、制作者も視聴者も心がすり減る」とこぼした。

 目指すのは「長く愛されて信頼されるブランド」。「そのためには過激なもので一時的に話題を集めるだけではダメだと思っています」と視聴者に対して誠実に向き合いファンになってもらう姿勢だ。「今回立ち上げた番組でも出演者にもっと過激なことを言ってもらえば、目の前の再生回数は獲得できると思う。でもそれは、長期的には損。過激の先には何も残らない、信頼は生まれない」と考え、番組と視聴者が心でつながれるようなコンテンツに仕上げている。

 実際に、番組スタートから約1カ月、出演芸人のファン以外の層からもコメントや感想が届いており、岩﨑氏は番組の浸透に確かな手応えを感じている。(【下】に続く)

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