元TBSアナ・浦口直樹氏 65歳定年後の今語る セカンドステージへの思い「コミュニケーション講座を」
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TBSアナウンススクールの校長を務めた浦口直樹氏(65)が今年6月に会社員生活を卒業、34年にわたる自身のアナウンサー時代に培ったスキルと経験をもとにユニークな「コミュニケーション講座」を開講する。SNSなどの急速な普及もあり、会社、学校、家庭など生活のあらゆるシーンでコミュ力不足で戸惑ったり、不安を感じる人が増え続ける現代。浦口氏が提案するプログラムは、そんな悩みを抱える人々に寄り添い、それぞれのトラブルや問題の解決に向けピンポイントでアドバイスするというもの。自称、「日本でただ一人のコミュニケーションプランナー」。新しい所属先(合同会社アルカディア企画)も決まり、「少しでも世の中の役に立てれば」と張り切っている。人生100年、浦口氏にセカンドステージにかける思いと気になる講座の中身を聞いた。
――知る人ぞ知る人気番組「ザ・ベストテン」の追っかけマン、「ラジオ寄席」も長く担当、さらに同局のアナウンススクールの校長も歴任。仕事柄、歌手やタレント、お笑い芸人、番組スタッフなど数えきれない人たちと日々接してきた。それも、いつも仕事を円滑に進める役回り。まさにコミュニケーションのプロ中のプロが新しく始める講座はどんな内容に?
「一番の特色をあえてひと言で表すなら、それはオーダーメイドです。初対面の人とうまく会話が出来ない、自分の考えを上手に相手に伝えられない、人前に出るとあがってしゃべることが出来ないなど、人によって悩みはさまざまです。その人の置かれた環境にも左右されるでしょう。企業や組織などの職場での人間関係、いまは不用意に発した不適切な発言でパワハラやセクハラにもなりかねません。世代間のギャップで意思疎通が難しいこともしばしば。さらに職場のチーム力を向上させるにはどうすればいいか、就活生の効果的な自己表現法などありとあらゆるところでコミュニケーション能力が求められています。まさに十人十色。あらかじめ決めたテキストや決まり文句を一方的に教えても解決の糸口は見つかりません。まず受講される方の具体的な課題や状況をヒアリングし、それに合わせた対策を立てようと考えています。講座を受けていただく人や団体に向けてオリジナルの処方箋を出せればと思っています」
――人生の後半戦、新たな取り組みを開始するには、なにかきっかけがあった?
「2015年頃から、アナウンサーの伝える技術や情景描写力を生かしTBSのCSR(企業の社会的責任)活動として視覚障害者の方たちへ向けた本の朗読コンサートやワークショップにプロデューサーとして参加しました。総合演出としてどのようにすれば視覚が不自由な皆さんに言葉でしっかりと伝えられるか真剣に考えました。イベント全体を盛り上げるために自分なりに無い知恵を絞り、細部にもこだわりました。会場のテーブルに並んだお菓子の色や形、窓の外の景色など、可能な限り具体的な言葉で描写してみようという具合です。皆さん、とても喜んでくださって、その結果、私までそれまで経験したことのない喜びをいただきました。ちょっとした気遣いや心配り、優しさが人の心を温かくすることを知りました。互いに心の扉を開けば、そこにはおのずと心地よい空間が広がる。人と人のコミュニケーションの大切さを実感したのは、その時です。それ以降、いつか機会があったら微力ながらも多くの人に心が通い合うコミュニケーション術をご提案できればと準備を進めていました。もうひとつ、これは後付けになりますが、郷ひろみさんの影響もあるかもしれません。以前、番組で一度しかお会いしたことがなかったのに、その数カ月後のパーティーで『浦口さん』と声をかけてくださったんです。スターというのは、さりげなくこういう細やかな気配りができるのだと感動しました。今思えば、これも人と人との距離を一気に縮める素晴らしいコミュニケーションの方法だと思います」
――その一方で根っからのお笑い好き。好きが高じてこれまで3回のお笑いライブを主催したとか。現在もさまざまな芸人と交流を深め、目に見えないたくさんの学びや気づきを得ていると公言しているが、それはどのようなこと?
「爆笑問題さんやウエストランドさん、錦鯉さんといったベテランから若手まで数多くのお笑い芸人の方々と接する中で、彼らの言葉の選び方、たとえ話のうまさ、表現の豊かさなど知らないうちに学ばせてもらった気がします。芸人さんは言葉に対して非常に敏感で、人を惹きつける話し方を熟知しています。そして、長く活躍している芸人さんには、ひとつ共通点があることに気づきました。それは人柄の良さです。どんな仕事も結局は周りの人に支えられて成り立つものです。私の講座では彼らの生きざまから教えてもらった、何よりも大切な人間関係の築き方もお伝えできればと思っています。時にはお笑いの要素もうまく取り入れて、より楽しく、分かりやすいものにできたらと考えています」
――最後にAIの発達が目覚ましい現代社会だからこそ、逆に実際の人と人とのつながりが必要になるのでは?
「たとえどれほどAIが進化しても、人間同士でしか分かり合えないもの、人と人の連帯があってこそ成し遂げられることがあると思います。例えば、スポーツ。最近で云えば大リーグのワールドシリーズ。人間の肉体と精神力を最大限に発揮した、ある種アナログの世界ですが、デジタルがいかに進化しても決して味わうことが出来ない感動が生まれるじゃないですか。そこには人間として互いを信頼しリスペクトしあう気持ちが不可欠。それをはぐくみ育てるのも選手同士の円滑なコミュニケーションにほかなりません。人と人との絆を深める、その能力はこれからますます重要になっていくのではないでしょうか」
◇浦口 直樹(うらぐち・なおき)1960年(昭35)6月19日生まれ、長崎市出身の65歳。九州大法学部を卒業後、1983年にTBSへアナウンサーとして入社。「ザ・ベストテン」「ラジオ寄席」「赤坂お笑いD・O・J・O」、「遊学舎でいこう!」など幅広い番組で活躍。TBSテレビ営業局CM部担当局次長、TBSアナウンススクール校長なども歴任。25年6月に定年退職。
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