「ばけばけ」脚本家ふじきみつ彦氏はイクメン、朝4時起きで朝ドラ執筆&育児両立「子どもといる時間に…」

[ 2025年10月27日 07:00 ]

「ばけばけ」脚本・ふじきみつ彦氏インタビュー(1)

NHK連続テレビ小説「ばけばけ」で朝ドラ初挑戦の脚本家・ふじきみつ彦氏。泣き笑いを誘う会話劇が話題を呼ぶ
Photo By 提供写真

 「バイプレイヤーズ」シリーズなど会話劇に定評のある脚本家・ふじきみつ彦氏(50)がNHK連続テレビ小説「ばけばけ」(月~土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)で朝ドラに初挑戦。松江の没落士族の娘・小泉セツと、その夫で日本の怪談を世界に紹介した明治時代の作家・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)をモデルにした物語で、持ち前のコメディーセンスをいかんなく発揮している。怪談や没落士族を題材にしながらクスッと笑える、一味違う世界観をまとう朝ドラとして序盤から反響。昨年春のプロット作りから始まった執筆の舞台裏を、ふじき氏に聞いた。

 <※以下、ネタバレ有>

 朝ドラ通算113作目。松野トキ(髙石あかり)とレフカダ・ヘブン(トミー・バストウ)、怪談を愛してやまない夫婦の何気ない日常を描く。「この世はうらめしい。けど、すばらしい。」――。トキとヘブンをはじめ登場人物それぞれの抱える不遇と怪談を重ね、それでも人生を肯定。ふじき氏が付けたキャッチコピーが秀逸だ。

 ふじき氏は広告代理店勤務を経て、30歳の時に作家活動を開始。日本の不条理演劇を確立した第一人者・別役実氏に師事。コント・小劇場からテレビドラマ・映画と、多彩な作品を生み続けている。2017年1月期にスタートした、名脇役6人が本人役を演じるテレビ東京「バイプレイヤーズ」シリーズのメーンライター。名台詞「テレ東だろ?」を編み出した。脚本を手掛けた21年のNHKよるドラ「阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし」(全7回)が第30回橋田賞を受賞。Eテレ「みいつけた!」などの教育番組においては、キャラクター作りから携わっている。

 23年のNHK夜ドラ「褒めるひと褒められるひと」(15分・全32回)を大幅に上回るキャリア最長、最多分量の連続ドラマ脚本。「その時でも長いなと感じたぐらいなのに、今回は未経験の領域のさらに上をいくもの。最初にお話を頂いた時は、これは大変なことになるなと思いました」と率直な心境を吐露した。

 「先を見通して書くのが、あまり得意じゃないタイプ」を自認。「割と書き進めながら、ああでもないこうでもないと話の筋道をつけていくスタイルなので、本打ち(脚本の打ち合わせ)にはお時間を取らせてしまっていて、何を書くか決まるまでが苦労している部分ではあります。決まってしまえばすんなり筆は進むので、長さや多さ、それ自体は実はそれほど感じていません」と明かした。

 1日のサイクルは、午前4時に起床し、執筆開始。8時頃に子どもを保育園に預け、午後5時半頃に迎えに行くまでに作業。9時半頃に子どもが寝るまでは再び“父親の時間”になり「基本的に、このペースを守っています」。朝ドラの作劇と育児を両立している“イクメン”だった。

 「子どもが生まれる前は朝早く起きる必要もなく、夜も何時まで書いていようが問題なく、土日もフルに使えました。僕はとにかく書くことが好きなので、その時間があればあるほど、うれしいタイプ。それは今も変わらず、自分も子育てをするようになって、最初は5分でも隙間を見つけて書いてやろうとしていたんです。子どもが生まれて半年ぐらいは、そのやり方で粘ったんですが、むしろ書けない。どうしてこれほど書く時間が取れないのか、苦しかったですね。それで、これは一度、割り切らないとダメだなと、生活サイクルを変えました。子どもといる時間には仕事はしない。書くのは子どもが寝ている時と保育園にいる時だけ。そう決めたら、その時間に集中できるようになって、楽に仕事と向き合えるようになりました」

 制作の大阪放送局で行われる本打ちも、東京から日帰り。「仕事の分量は変わっていなくて、書く時間は半分ぐらいになりましたが、やればできるものだなと思ったりしています(笑)」。2児の父として家族との時間を大切にしながら、朝ドラの長丁場も楽しんでいる。

 第8回(10月8日)、トキのお見合いが破談になった後の台詞の応酬が、ふじき脚本の真骨頂。視聴者の爆笑を誘った。

 松野司之介(岡部たかし)「あの…あの、一体、どげな話を」

 雨清水傳(堤真一)「それを言ったら(席を)外す意味がないじゃろう」

 司之介「そげですが…あの話ではございませんでしょうな」

 傳「何じゃ、あの話とは」

 司之介「あの話は、あの話でございます」

 傳「だから、どのあの話じゃ。そのあの話とは」

 司之介「ですから、そのあの話は、あのあの話でございます」

 傳「あのあの話?」

 松野勘右衛門(小日向文世)「あのあの話でございます」

 雨清水タエ(北川景子)「あのあの話ですよ、おそらく」

 松野フミ(池脇千鶴)「ええ、あのあの話でございます」

 傳「ああ!あのあの話か。あのあの話など、この場でするわけがないじゃろう」

 昨年6月の制作発表時に「何も起きない物語を書いています」「取り立てて人に話すほどでもない他愛もない時間。そんな光でも影でもない部分に光を当てる朝ドラを書いてみたい」とコメント。トキの生い立ちを描く第4週までは「もちろん何も起きないわけにはいかず、トキの人生を描かないと先に進めないので書きました。第5週でヘブンも来日して、周囲を引っかき回したりもしますが、なるべく隙を見つけて“あのあの話”のようなシーンをたくさん盛り込もうと頑張っています。第5週から雰囲気もガラッと変わって、新しいキャラクターも増えますので、引き続き楽しんでご覧いただければうれしいです」と呼び掛けた。

 =インタビュー(2)に続く=

「美脚」特集記事

「中居正広」特集記事

芸能の2025年10月27日のニュース