「何かのために生きなくていい」――DuelJewel隼人が選んだ音なき日々、芽吹いた微かな“再生”

[ 2025年10月15日 17:00 ]

【画像・写真3枚目】「死と恋の境界を歌いたかった」――DuelJewel隼人が紡いだ「待宵月」に込めた祈り
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 結成28年を迎える5人組ロックバンド「DuelJewel」(デュエルジュエル)。その歩みは順風満帆ではなかった。2016年、ボーカル・隼人が声を失い、バンドは解散を余儀なくされた。奇跡の復活を遂げた彼はいま、何を見つめているのか。東京・スポニチ本社で語った言葉は、華やかなV系シーンの裏にある“人間としての再生”を照らしていた。(ヴィジュアル系特集取材班)

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 2011年、ある日突然、歌が出なくなった。話す声に異常はない。だが、思うように歌えない。診断は「機能性発声障害」。ポリープも傷もなく、投薬も手術も意味をなさなかった。残されたのは“もがくこと”だけ。懸命のリハビリも実らず、16年、バンドは解散を選んだ。

 解散後、隼人は36歳にして初めて、音楽から完全に離れた。

 「『成功させなきゃ』『間に合わせなきゃ』。いつの間にか、そんな言葉に自分を縛っていたことに気づきました。音楽に関わること以外は“時間の無駄”とすら思っていた。でも本当は、ただ焦っていただけだったんです」

 仲間と笑い合う日常。何も成し遂げなくても、生きていていい。その当たり前が、心を救った。

 「もう、何かのために生きなくていい。あの感覚は、歌えない日々にしか出会えなかった」

 音楽を捨てたわけではない。ただ、失ったことで初めて“自由”を知った。
 転機は2017年春。ある仕事の移動中、ふと「声が出るかもしれない」と直感した。恐る恐る発した声は、確かに響いた。奇跡のようだった。

 19年、DuelJewelは復活。そこにいたのは、音楽から離れた時間を経て、音楽への向き合い方を変えた隼人だった。「以前は“ちゃんとやらなきゃ”ってアップアップで、楽しむ余裕がなかった。今はどんな状況でも、自分が楽しむスペースを取っておく。そうじゃないと、音楽は面白くなくなるんです」

 声を失い、ゼロから立ち上がった人間だからこそ言える言葉。その言葉には、焦りを手放した人間の強さがあった。

 長い時間をともにしてきたメンバーとの関係について問うと、隼人は照れくさそうに笑った。

 「僕なんて、神輿の上に立たせてもらってるだけ。担いでくれるのはメンバーですから。続けてこられたのは本当にみんなのおかげです」

 声を失い、一度は音楽を手放した男が、再び歌えるようになった奇跡。その歌は、「人間にしか出せない音楽」が確かにあることを証明している。

 「何かのために生きなくていい」。その言葉は、隼人の歌声に魅せられた人々の胸にも、そっと重なる。あの頃の夢も、今の生活の積み重ねも、すべてが確かに意味を持っている。ライブハウスの扉を開けた瞬間、心の奥で眠っていた鼓動は、いつだって熱く鳴り始める。

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