タモンズ ブレークのきっかけとなった“時代遅れ”漫才「ぼくたちの人間味を伝えることができた」
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漫才コンビ「タモンズ」が行っている全国ツアー「タモンズ60分漫才『詩芸』」もいよいよ終盤戦。19日の埼玉・お笑いバックスシアターThe roof、11月13日の東京・ルミネtheよしもと、地元兵庫で12月27日に行われる神戸新開地・喜楽館のみとなった。下積みが長く、M―1でも結果が出なかったコンビはなぜブレイクできたのか?2人が活路を求めた漫才とは?(取材・構成 江良 真)
――60分漫才のアイデアはいつ浮かんだのですか?
大波康平「M1出場の権利が終わったころ(2023年)ですね。舞台でも手応えはあったので、これに賭けようと思ったのですが、ツアーとなるとお金もかかる。だから最初はクラウドファンディングで収益出して、その収益のもとに回していけば赤字にはならないかなと思って始めました」
――昨年、THE SECONDでブレイクしました。
安部浩章「大会が始まるのも知らんかったんで、対策も何もしてなかったんですが、このツアーで漫才の筋肉がついて、なんかいい感じで対応できました。吉本内の位置づけも変わりました。今までマネージャー1人で20組くらい見ている感じの1組だったんですけど、ようやくマネージャー1人で4組くらいの1組になれた」
大波「裏事情すぎるやろ、そんな話」
安部「お客さんも純粋に増えましたね。400人くらいのところやったら埋めれるようになったし」
――昔から長い漫才は性に合っていたのですか?
大波「1年目、2年目のときはレッドカーペットがテレビでやってて、ショートネタが多かったんですけど、それが全くフィットしなかったんです。でも、ある作家さんが“おまえらはやらんでいい、長尺のほうが絶対いい”と言ってくれて、長い漫才をほとんど強制的にやらされてたんです。M―1は3分やし、世間はそういう漫才がトレンドのときに、ぼくらはずっと10分漫才、20分漫才、30分漫才とかをやってて、これどこでやるんですか?という感じでした。でも、それをやれば受けるという感覚はありましたね」
――その理由はどこにあったのでしょう?
大波「もともとカチッとしたテンポのいい漫才は苦手やったんです」
安部「ダラダラやってるほうが向いてたんですよね
大波「明確にはわからなかったんですけど、やれば受ける。なんなんやろ?という」
――ただ、タモンズさんの漫才は聞いていて、しばらくするとジワジワくるというところはありますよね。
安部「長いと人間味が伝われるのかもしれないです。これまでは、こいつら誰?という目で見られたまま漫才が終わってしまってたので」
――M―1のような漫才がもてはやされている中で、セカンドという賞レースができたのは大きかったんでしょうね。
大波「ただただラッキーだったんですけどね。たまたま始まって、しかも長尺やったというラッキー以外の何物でもないです」
――元々は神戸の出身で、大学は2人とも関東。芸人を目指したきっかけは何でしょう?
大波「きっかけとかなくて、高校の時に何人かで公園に集まって朝までずっとしゃべってるのが楽しくて、これいけるんちゃう?という感じが発端です」
安部「で、関東に来てから芸人を意識し始めて、とりあえず公園で漫才やってみたんです。めちゃすべりました(笑い)。当たり前ですけどね。ネタもめちゃめちゃやし、声も出てないんで。やっぱ、このままではプロにはなられへん。どっか事務所に入らなあかんとなって、見つけたのが松竹の募集やったんですが、それがちょうど締め切りが過ぎてたんです。松竹安かったんですけどねえ。ちょっと高いけど40万払って吉本いこかって」
大波「ああ、そんな感じやった(笑い)」
――むちゃくちゃ軽い(笑い)。大波さんから誘われたということですが、阿部さんのどこに魅力を感じたんですか?
大波「当時はナインティナインさんとかキンコンさんみたいな感じが流行してたんです。明るくて、楽しくてみたいな感じ。でも、みんな岡村さんとか梶原さんの真似みたいな感じ。でも、こいつは家でほとんどテレビを見てなくて」
安部「風雲!たけし城は見てたで」
大波「そんなん、高校生は見ないじゃないですか(笑い)。だから、しゃべりがまったくの我流なんです。急に突拍子もないこと言ったり、ボソっとわけのわからんこと言ったり。それがおもろかった。だから芸人に誘ってみたんです」
――でもNSCに入ると、いろいろルールもあって大変ではなかったですか?
大波「大変でした。M―1とかでも、どこからともなく攻略法みたいなものが聞こえてくるじゃないですか?こういう下ネタはダメとか、たたみ込まないとダメとか、伏線を張って回収して大きな笑いをとるとか。そんなんせなあかんの?となりながらも頑張ってみたんですけど、フィットせずでした(笑い)。でも60分漫才は何でもオッケーなんです。下ネタでも、伏線張らなくていいし、ネタ途中でやめてノリでいってもいいし」
――ルールのある漫才は難しかった?
大波「まあ、腕がなかったんです(笑い)。みんなその中で頑張ってるんですけど、そういう力はなかったんやと思います」
――大宮セブンに行かれたのは大きかった?
安部「めちゃくちゃ大きかったです。8年目を超えると若手の小屋に出られなくなるので、漫才どこですんの?となったタイミングで拾ってもらいました。でも、ぼくは13年に結婚して子どもができて、もうバイト三昧になって、芸人としては芸ができない最悪の状態になったんです。それなのにずっと出してくれた」
大波「ウケへんのになぜか、劇場の人がおもしろいって出してくれてたんです」
――横のつながりも良かった?
大波「最初はみんな人気なかったですけど楽しかったですねえ」
――今年のセカンドは大宮仲間の囲碁将棋に敗退でした。
大波「優勝してほしかったなあ。昔からそうなんですけど、悔しいとか全くなくて。それがいいとこでもあって悪いとこでもあるんですが(笑い)」
――ツアーファイナルは地元ですね。
安部「神戸でやるのは初めてなんです。ちょっと感慨深い」
――公園でたまってた人たちも来られる?
安部「そうですね。まあ2階に陣取ってもらって」
大波「1階で荒れて、他のお客さんにご迷惑かけても困るので(笑い)」
◇タモンズ 大波康平(おおなみ・こうへい)1982年(昭57)11月14日生まれ。兵庫県神戸市出身の42歳。安部浩章(あべ・ひろあき)1982年(昭57)5月24日生まれ。兵庫県神戸市出身の43歳。高校の同級生で、2人とも関東の大学に進学。また、どちらも中退している。05年にNSC東京に入学。ブレイクすることなくM―1の出場資格を失ったが、24年にTHE SECONDで決勝進出をはたした。同年12月にはモデルとなった映画「くすぶりの狂騒曲」が劇場公開された。
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